男の恋愛感情は、進化生物学的にはどのように発達してきたのだろうか? 初期のころは、Good Mother(妊娠しやすさ=若さ、健康状態)やGood Genes(美貌)の点で優れたメスを手に入れるために、ちょっと無理してエネルギーを出すためのターボ・チャージャーみたいなものだったのだろう。 ここまでは、女性の恋愛感情の起源と変わらない。 問題はここからである。ここからオスとメスの性選択の軍拡競争が、進化の過程で引き起こされたのである。男にとってその女がGood Genesだということは、女から見たら、その男が遺伝的に格下であることに他ならない。女は、プレ・セックス・ピリオドの男の恋愛感情を、格下を判別するためのシグナルとして利用しはじめたのである。さらに、男の恋愛感情が、無理をするためのターボ・チャージャーみたいなものだったら、少々酷いことをしても、その男がなかなか引き下がらないことを意味する。こうなると、女にとっては、自分のことを好きな男には、なかなかセックスさせずに、資源を奪い取れるだけ奪い取ることが、進化生物学的には最適戦略になってしまう。 おそらく、これが非モテコミット理論の進化生物学的な説明なのだ。 以上のロジックは、女の恋愛感情でもある程度は当てはまるが、男の場合は、精子の製造コストが極めて小さく、また子宮で子供を育む必要もないので、とにかくやれる女はどんどんやっていく、というのが進化生物学的な最適戦略になるので、勝手に自分のことを好きになってくれた女を避ける理由はほとんどない。だから、女には非モテコミットという概念はないのである。 さて、それでは逆に、なぜこれほど不利になる男のプレ・セックス・ピリオドの愛の感情が、進化の過程で完全に退化せずに残って来たのだろうか─ |
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