今年10月に行われる「パラカップ仙台」は、走って東北の復興を応援しようと去年から始まった、チャリティーリレー大会です。周回2キロのコースを2〜7人のチームで走り、3時間で何周走ったかを競います。会場は、宮城県名取市の仙台空港のすぐそば。東日本大震災で津波が押し寄せた場所です。大会を立ち上げたのは、仙台の市民ランナー達。コースをどこにするのか、実行委員会のメンバーの中では議論が重ねられました。「正直、被害を受けたところを走るのは、不謹慎なのではないかと悩みました。でも、単純にチャリティーのお金を集めるだけじゃなく、走って、見て、記憶に残してもらうことに意味があるんじゃないかと」(実行委員・長谷川良子さん)
大会実現に当たっては、会場近くの空港ビルの協力、道路を使用するための警察の許可、そして何よりも地元・北釜地区の人達に受け入れてもらうことが必要でした。住民とのパイプ役となったのが、町内会の役員を務めていた高橋学さんです。「最初は『走る』って言われても、どんなイベントになるのか全く想像が出来なくて。でもどんな形でもいいから人に集まってもらって、今ここがどうなっているのかを知ってもらいたい。そういう気持ちが強くて、住民に協力をお願いしました」太平洋と空港に挟まれた北釜地区は、メロン「北釜クイーン」の栽培で有名で、小松菜・チンゲン菜の県内最大の産地。震災前は、数百棟のビニールハウスが並ぶ光景が広がっていました。現在は内陸部への集団移転が計画され、農地は除塩や土壌の瓦礫の除去などの復旧作業が進められています。
去年の第一回大会には、約200チームのエントリーがあり、1188人のランナー・ボランテイアが参加しました。空港ビルで受付をし、離発着の飛行機を間近に見ながら走る。全国で数多く開催されるランニングイベントの中でも、珍しい体験です。スタート・ゴールの会場には、復興商店街「閖上さいかい市場」から、名物の水餃子(キムチをトッピング)やツナマヨネーズ入りはんぺんフライなど、地元グルメブースが出店。エイドステーション(給水所)では、北釜地区のお母さんたちが握った一口おにぎりが並びました。当日は土砂降りの悪天候でしたが、参加者がずぶ濡れになりながら、笑顔でタスキをつないで行く様子が印象的でした。
「去年は一参加者として走ったんですけど、タイムを狙う人もちろん、ゆっくり走ったり、美味しいもの目当てだったり、いろんな参加の形があったのがよかったです」(実行委員・阿部寛行さん)「大会というよりは運動会のような感じ。マラソンが初めてという人の走るきっかけになったらいいですね」(実行委員・梅森千恵子さん)第一回大会で集まった収益金は、震災で親を亡くした名取の子供達の奨学金として寄付されました。
今年の「パラカップ仙台」は、10月6日(日)に開催される予定です。高橋さんは、この大会が来年以降も継続的に開催されることを期待しています。「復興に長い時間がかかることは覚悟しています。だからこういう大会が開催されるおかげで、一年ごとに復興の進歩を確かめることが出来ます。皆さんに毎年来てもらって、この土地の復興を一緒に見守ってもらえたら嬉しいです」走る日常を取り戻しつつある喜び、一歩一歩進んでいる被災地の思いが、今年もタスキでつながれて行きます。(平沼敦子) | | 高橋学さんと実行委員会のメンバー | | スタート・ゴール地点は仙台空港のすぐそば | | 昨年の参加賞は雄勝石の手作りメダル | | 地元で人気の惣菜屋さん「匠や」も出店予定 | | Information 「第2回PARACUP SENDAI in SENDAI AIRPORT」 2103年10月6日(日)10:00〜15:00 (宮城県名取市 下増田第二臨空公園跡地) 8月31日までエントリー受付中 ※定員に達し次第締切 一人で参加出来る「チームお任せエントリー」もあり。 http://www.paracupsendai.info/ |
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