2014年4月24日木曜日

クレジットカード審査にお困りの方へ/キーは中国?それともTPP??日米首脳の温度差を指摘するメルマガをちょい見せ!【ちょい見せまぐ!】

2014/04/24 ※サイトで読む 配信中止はこちらから
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今回のちょい見せ LINEUP!
 ≫ 『首相の思惑、すでに半分は外れ』 高野孟
 ≫ 『キーは中国』 冷泉彰彦
ちょい見せ! その1
 
ちょい見せ! その1
高野孟のTHE JOURNAL
 
安倍首相はTPPで大幅譲歩か?
【首相の思惑、すでに半分は外れ】
 
 そもそもの安倍の構想では、オバマ来日の前に集団的自衛権の行使容認のための安保法制懇報告を出させ、それを受けて直ちに憲法解釈変更の閣議決定にまで持ち込んで、「ついにやりましたよ!」と報告してオバマから礼賛の言葉を引き出し、その見返りに、尖閣有事の場合には米国が日本に対して集団的自衛権を発動して共に防衛に当たることを宣言して貰うつもりだった。ところが昨年末に安倍が靖国参拝という地雷を踏んでしまい、安倍の右翼愛国路線への傾斜と中国・韓国に対する強硬姿勢とに米国が失望と警戒を強めたことから、歯車が大きく狂い始めた。

 安倍はもちろん、集団的自衛権容認を誇らしげに持ち出すだろうし、オバマはそれが長年にわたる米国の対日要求だったことは知っているから「それは結構なことだ」とは言うだろう。しかし、安倍が根本的に理解していないのは、オバマの米国は、冷戦時代からブッシュ・ジュニアまでの20世紀的な米国とは違う、ということである。オバマは、米国がその強大な軍事力を振り回せば世界の大抵の問題は解決可能だとは思っていないどころか、そうすることがむしろ有害だと考えて、シリアでもウクライナでも慎重な行動選択をしようとしているし、従ってまた台頭する中国に対しても、軍事力で包囲網を形成して封じ込めようとするよりも、どうしたら世界第1位と第2位の大国間で(しかも2020年代には中国のGDP が米国のそれを上回るだろうという見通しが語られている中で)建設的な外交的・経済的関係を築けるかを模索している。

 それは、ブッシュのイラク・アフガン両戦争がどれほど深く米国を傷つけたかを思えば、当然の模索であるけれども、米国や日本の一部右翼や冷戦派残党の目には「オバマは軟弱だ」と映る。恐らく安倍のオバマ観もそれに近く、集団的自衛権の話に身を乗り出して乗ってこないことに失望を感じるのではないか。本誌がすでに伝えてきたように、米国のシンクタンクなどには、安倍が本当に狙っているのは、集団的自衛権解禁をステップに利用して日本の対外軍事行動への道を開き、自主防衛的な軍事強国を目指すことではないのかという疑念すら生まれている。そこまでオバマ自身が考えているかどうかは分からないが、少なくとも、集団的自衛権解禁で米国と日本が肩を並べて中国と戦争の構えをとろうという安倍の路線に同調するつもりは全くない。だから尖閣共同防衛など宣言する訳がない。

 他方、国内的には、「砂川判決」を持ち出して集団的自衛権を最高裁判決も認めていたと強弁する高村正彦=自民党副総裁の"珍論"に対しては、法曹界で嘲笑的な批判が広がっており、これで公明党を説得しようという高村工作はすでに失敗が明白となった。

 こうして、集団的自衛権解禁を日米首脳会談の目玉にしようという安倍の狙いは、すでに崩れ去ったと見るべきだろう。

 はっきり言って、オバマの今回来日の目的はTPPで日本の譲歩を引き出すことだけである。外交も内政も行き詰まって政権運営に苦心惨憺するオバマにとって、最大の関心事は秋の中間選挙であり、誰が考えても分かることだが、日本と組んで中国と戦争を構えるなどと宣言しても、民主党は1票も増えないどころか、株価も暴落してますます票が減るばかりで、それよりもTPPで日本の大幅妥協を引き出して業界団体や農産者の歓心を買う方が遥かにプラス効果がある。

 オバマ訪日日程を発表したホワイトハウスの会見で、ライス大統領補佐官は「『TPP』を連呼した。……『成果』が乏しいと予想されている今回のアジア歴訪の中では、TPP の進展は、アジアの巨大市場への輸出と雇用の拡大をアピールできる、数少ない材料」(20日付朝日「オバマ氏、主眼はTPP」)だからである。

 安倍としても、集団的自衛権解禁が"お土産"にならないとなれば、TPPでサービスする以外に喜ばせる方法はない。しかし、16日から18日までの甘利明TPP担当相の訪米によるフロマン米通商代表との交渉は不調に終わり、「一定の前進はあったが、まだ距離は相当ある」といった状況にある。結局、甘利は最後まで頑張ったが……という形を作って国内向けの弁解をし、安倍のやむを得ざる決断によるトップダウンの決定として牛肉・豚肉と乳製品の関税撤廃もしくはそれに近い大幅引き下げを打ち出すところに追い込まれるのではないか。

 これについて報道面で飛ばして煽っているのは、やはり読売で、20日付一面トップでは「牛肉関税『9%以上』/TPP、日米歩み寄り/共同声明『大きく前進』明記へ」という見出しで大々的に報じた。「複数の政府筋が19日明らかにした」としているものの、読売1紙を先行させて世論を地均しするための甘利サイドからのピンポイント・リークであることは間違いないだろう。

 周知の如く、日本は牛肉・豚肉、乳製品、コメ、麦、サトウキビの重要5品目を「聖域」とまで位置づけ、自民党のHPには今も「TPPにおいて『例外なき関税の撤廃』を約束させられて交渉に入るなど論外」と書いてあるし、「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない」と大書された広報ポスターが撤去されずに貼り出されたままの農村地域も残っている。しかし、とっくの昔に同党の方針は翻っていて、農協と農家、特に酪農家は致命的に裏切られることになるだろう。

 集団的自衛権解禁論の低知性レベルでの迷走、消費増税によるアベノミクス失速の危険増幅に加えて、TPPでの目をつぶって飛び降りるが如きの大譲歩が折り重なって、安倍政権が下り坂を転がり始める兆候が見えてくるのがこの4月である。
 
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ちょい見せ! その2
冷泉彰彦のプリンストン通信
 
アメリカの政局の中での位置づけは?
【キーは中国】
 
 アメリカ側としては今回のオバマ大統領のアジア歴訪というのは、あくまで「安全保障が中心」であり、しかも「中国との軍事外交上のバランス確保」が目的だという報道が主となっています。特に今回訪問する4カ国、つまり日本、韓国、フィリピン、マレーシアについては、中国との軍事外交上の問題を抱えた国ばかりであり、その点からもテーマは明白だ、そのような言われ方が主流です。

 日本では、アメリカ側から「今回の首脳会談はTPPが70%」だというメッセージが来ているという報道もあるようですが、アメリカでは、特に各メディアの取り上げ方としては、そうではないということです。

 とりわけ日米首脳会談に関しては、12月の安倍首相の靖国参拝以来のギクシャクしていた日米関係、そして日韓関係、日中関係を「安定させる」というのが主要な目的になる、そのような見方が中心です。

 では、具体的にはアメリカとして「日米関係」と「日中関係」に関してはどのようなスタンスを取ってくるのでしょうか? これは言葉にしてみればそんなに複雑なものではありません。「日米の連携は強固だというアピールをする」一方で、「それが中国を刺激して中国の軍拡の口実になるのは避ける」ということです。

 では、アメリカは中国に対して宥和的であり、例えば西太平洋の制海権を与えてもいいと考えているのでしょうか? そうではありません。では、アメリカは中国がこれ以上この海域での活動が活発化しないように、極めて強い姿勢で臨もうとしているのでしょうか? これも違うと思います。

 そうではなくて、全体的に東シナ海から西太平洋に関する「対立のエネルギー」を沈静化したい、そうして全体を沈静化しながら、確実に「バランス・オブ・パワー」を確立して現状を維持したいということだと思います。

 そこで「現状維持」というと、どこか受け身であり、逃げているかのような印象を与えるかもしれません。ですが、そうしたイメージは誤りだと思います。そうではなくて、非常に厳密な意味として「現状維持」を確認したい、これがアメリカの立場であると思われます。

 具体的に見て行きましょう。例えば辺野古の問題があります。サンゴ礁のある辺野古沖の環境を破壊して、新しい米軍基地を建設するというと、まるで軍拡を行っているかのような印象を与えます。ですが、そうではないのです。

 辺野古というのは、普天間の代替の基地として構想されており、現在もそうした位置づけです。では、どうして普天間を閉鎖したいのかというと、基地の隣接地域に人口密度の高い住宅地が出来てしまったからです。このまま普天間の運用を続ければ、いつの日か大惨事が起きて、米軍は沖縄にいられなくなるという危機感の結果、生まれたのが辺野古案というわけです。

 ですから、アメリカとしては抑止力を強化したいために、辺野古を作りたいのではなく、普天間を廃止したい、その際に抑止力を「寸分違わずに維持したい」という理由で辺野古を考えているわけです。

 また、尖閣諸島の問題があります。この問題に関しては、アメリカは再三にわたって「日米安全保障条約」の適用対象だという見解を表明しているわけです。その一方で、今回の首脳会談では「尖閣諸島に関する米国の防衛義務」を明記した「共同文書」を発表するよう日本側が「提案」したという報道があります。

 これに対し、米側は「日本の施政権の及ぶ範囲」については防衛する義務がある定めた日米安全保障条約の対象とするという以前と同様の見解にとどめ、「(尖閣という)具体名を盛り込まないよう」求めている、そのように報じられています。

 この問題に関しては、この点から「日米には温度差がある」とか「わざわざ国賓待遇で迎えるのにガッカリだ」というようなことが日本側では言われているようです。ですが、これもアメリカとしては「寸分変わらず維持したい」というだけのことであり、それ以上でも以下でもありません。

 例えばですが、この点に関しては現在安倍政権が検討している「集団的自衛権」の合憲化という問題はどうでしょう? この問題に関しては、アメリカは長い間「日本に対して要求」して来ました。今月、オバマ大統領に先駆けて日本を訪問したチャック・ヘーゲル国防長官も、安倍政権の対応を「歓迎する」と述べていますし、首脳会談でもそのような流れになる可能性があります。

 では、アメリカはこの件を「両手を挙げて大賛成」であるかというと、必ずしもそうではないと思います。勿論、日米が共同で作戦をする可能性がある以上、実務的には「可能」にしておいたほうが良いのは、アメリカ側としては間違いありません。だからこそ、長い時間をかけて公式に日本に対して「要求」してきたわけです。

 ですが、現在進行している話は、安倍政権という「第二次大戦や戦後処理の評価」を含めた「歴史認識の変更」を企図した政権によるものです。ということは、アメリカにとっては大歓迎である「合憲化」も、仮にその仮想敵国が中国であるということになれば、中国を刺激し、中国の軍拡の口実を与えることになりかねません。

 ということは、現時点でこの件だけを先に進めるということは、それだけでも「バランスを崩す」ことになります。要するに「寸分たがわぬ維持」ということにはならないわけです。

 では、どうすれば「バランス維持」になるのでしょう?それは、安倍政権が「これ以上周辺国との関係を悪化させない」ということへの「何らかの保証を求める」という形を取ると思います。

 その点で「何か成果があれば」この首脳会談は成功であるし、反対にこの首脳会談の結果として「安倍政権は周辺国との関係を改善する方向に動かない」
というような事実が見えるようですと、アメリカ側から見て会談は失敗だった
ということになると思われます。

 この問題は、アメリカの政局としては非常に重要な意味を持ちます。仮に安倍政権による「対中国、対韓国」外交を、関係改善へと促すことができなかったとすると、例えばオバマが打ち出している「アジア重視の外交」というのが「成功していない」という評価になるからです。

 つまり、中国との微妙なバランスを維持しながら、中国に対して覇権主義的な言動を止めさせ、同時に中国を開かれた国として、国際ルールに従わせる、更には高度成長経済からより付加価値の高い安定成長型経済へとソフトランディングさせる、これがアメリカの大きな戦略です。それが上手く行っていないということになると、これからの、特に2016年の大統領選にも影響を与えかねないでしょう。

 その意味で、今回の首脳会談に対するアメリカの見方は静かではありますが、極めて厳しいものがあると思います。
 
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【ちょい見せまぐ!】 2014/04/24号(毎週火・木曜日発行)
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