みんなの党の渡辺喜美代表が大手化粧品会社DHCの吉田嘉明会長から8億円の融資を受けていた問題が政界に衝撃を与えている。国民の疑問としてはなぜ化粧品会社の経営者が与党でも無い野党の小政党に巨額のお金を無担保で融資していたのかという点だと思う。 新聞に報道されていたように小沢一郎代表もDHCの吉田会長から個人献金を頂いた事があった。ちょうど私が政治資金担当の秘書時代の頃だ。小沢が親しくしている銀座の画廊経営者のご紹介だった。「何でこんな化粧品会社の会長が突然献金してくれるんだろう?」と驚いたものだ。 DHCの本社にお伺いして陸山会の個人献金申込書をお渡し、後日、郵送された後に振込依頼書をご郵送したらすぐに150万円(個人献金の最大限度額)を振り込んで頂いた。私が秘書在職中の時なので小泉郵政選挙のあった2005年より前のことだ。当時、与党では無い民主党の政治家に献金をしたということは政権交代に期待しての事だろう。実際、私どもは一度もお会いしたことが無いし秘書の方とも個人的なお知り合いになることが無かったので純粋な支援だったと思う。 最近はご支援頂いていないようだが恐らく吉田会長は民主党に見切りをつけてみんなの党の渡辺代表に乗り換えたのだと思う。吉田会長も報道機関の取材に対して「この国の発展を遅らせているのは官僚制度なのでみんなの党の渡辺さんに期待して献金した」と言っている。化粧品や健康食品は厚生労働省の規制が厳しいので新商品の認可に際して長年、厚生労働省と闘ってきたので脱官僚の民主党やみんなの党を応援しようと思ったのだろう。もちろんそれが将来的に会社の利益に繋がるとの計算もあったろうとは思う。 しかし、楽天の三木谷浩史会長の動きと比べてみると吉田会長の融資は個人的な思いが強いことが感じられる。三木谷会長はIT産業など新興企業群を率いて『新経済連』を作り、薬のインターネット販売の規制緩和などを求めているが、これなどは典型的な業界を巻き込んでの「政治への関与」である。経団連を中心とする重厚長大産業へ傾斜配分されていた優遇税制や規制を自分達の業界へシフトさせようという狙いだ。こうした動きと比べると吉田会長の融資は業界を巻き込んでのものでもなく個人的に政治を変えよう、影響力を行使しようという考えであった事がわかる。 さて、捜査の進展であるが予断を許さない展開だ。新聞社や週刊誌が問題をたきつけて市民団体に告発させて捜査機関を動かすという従来のストーリー通りに今のところ話が進んでいる。郷原信郎弁護士のブログでは、立件のハードルは高いという見立てが述べられていた。確かにお金に色は無い。そうした点を吟味すると受けた融資を政治資金や選挙資金として使ったという立件のハードルは我々が思っているより高いかもしれない。 だが、捜査機関は報道や国民感情を気にする。どうしても猪瀬事件と比べられる事になるので、一方が罪で一方が無罪放免というのは捜査機関として分かりやすい説明がしにくい。 更に大事なポイントは捜査機関は立件のハードルを「変える」という事だ。佐藤優さんの「国家の罠」で検事がしていたのは「時代と共にハードルは変わる」というものだったが解釈はいくらでも変わるものだ。 加藤紘一氏や田中真紀子氏は自身の疑惑の時に機先を制して「辞職」することで国民やマスコミの追求の矛先を弱めて捜査機関からの訴追を免れた。渡辺代表もこの手を使う可能性は十分にあると私は予想している。 |
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