冷泉彰彦 現在、プリンストン日本語学校高等部主任。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を隔週寄稿。「Newsweek日本版公式ブログ」寄稿中。NHK-BS『cool japan』に「ご意見番」として出演中。 アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」『冷泉彰彦のプリンストン通信』では、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届け! | 私は、基本的にはメリットはないという考えです。と言いますか、デメリットの方が多いとも考えています。
この問題に関する基本的な考えですが、(1)知能の高い動物として欧米でイルカやクジラは愛されている現状を考えると、子供たちにまで日本への反発を広めかねないということ、そして、(2)環境を大事にする自然観というカルチャーを日本が世界に広めていく戦略の足を引っ張るという理由から、イルカ漁や捕鯨は「積極的に維持したり、積極的に弁明したりする」ことはしないで、フェードアウトに任せるべきと思っています。
ですが、こうした言い方でも日本の読者には届かず、強い反発を受けてしまうのですね。この点に関しては、亡くなった評論家の山本七平氏が「欧米に批判される前からクジラを食べていたのなら(捕鯨批判への)反論にも説得力があるが、批判されて初めてクジラを食べ始めるようでは低級なナショナリストだ」と言っていました。一つの見識だと思います。
後は、今回は国際司法裁判所で「調査捕鯨という名目での商用捕鯨」はダメだということになったわけですが、この問題と併せて「オーストラリアやニュージーランド沖の南太平洋での捕鯨」というのが「果たして日本の伝統漁法」なのかという問題もあるわけです。 そうした流れを受けて、静かにフェードアウトさせていけないか、そんな風に考えています。 |
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