2014年5月20日火曜日

≪私でも通る?≫安心!簡単!今すぐ借りる/美味しんぼ騒動をどう見る?福島で取材を重ねたジャーナリスト、科学者の意見をちょい見せ!【ちょい見せまぐ!】

2014/05/20 ※サイトで読む 配信中止はこちらから
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今回のちょい見せ LINEUP!
 ≫ 『「美味しんぼ」を冷静に読むために』 畠山理仁
 ≫ 『被曝との因果関係について』 山岡俊介
 ≫ 『表現の自由と科学教育』 堀川大樹
ちょい見せ! その1
 
ちょい見せ! その1
そこそこ週刊・畠山理仁
 
「鼻血」について思うこと
【『美味しんぼ』を冷静に読むために】
 
 私も原発事故当時に福島県にいた方から「原発の爆発後に鼻血が出た」という話は何人かから聞いている。原因がわからず不安に思った方はいた。それは事実だろう。だから私は「鼻血が出て不安に思った」と告白する人を責めることはできない。

 しかし、インターネット上でこの問題について眺めてみたところ、「鼻血なんて出るわけがない」「嘘をつくな」という極論まで飛び出していて驚いた。「原発事故の影響ではない」と意見表明したかったのかもしれないが、あまりにも冷静さを欠いた乱暴な物言いではないか。

 たしかに環境省環境保健部はホームページ上で、次のような見解を表明している(5月8日付)。

◯国連(原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR(アンスケア))が、これまでの知見に基づき公表した「2011年東日本大震災と津波に伴う原発事故による放射線のレベルと影響評価報告書」(平成26年4月2日公表)によれば、住民への健康影響について、「確定的影響は認められない」とされています。

◯東京電力福島第一原子力発電所の事故の放射線被ばくが原因で、住民に鼻血が多発しているとは考えられません。

 だからと言って「鼻血なんて出ない」「嘘をつくな」とまで言うのは行き過ぎではないか。「多発しているとは考えられない」と「まったくいない」は別だ。極論を言った本人は満足できたとしても、問題の解決にはならないだろう。

 2012年6月14日、当時まだ野党だった自民党の森まさこ参議院議員が、参議院・東日本大震災復興特別委員会で「子どもの医療費」について次のような発言をしているのを見つけたので少し引用する。

 ***

森まさこ君 今までのこの国会での政府答弁ですと、残念ながら、大臣は東京電力に裁判してくださいということでした。それですと、被害者の方が、子どもたちの方が、この病気は原発事故によるものなんですよということを立証しなければいけない。これはほとんど無理でございます。そういったことがないように、この法律で守っていくものというふうに私は理解しています。(畠山注・この法律=子ども被災者支援法)

 例えば、具体的にこんな心配の声をお寄せいただいています。子どもが鼻血を出した、これは被ばくによる影響じゃないかと心配なんだけれども、それを診察してもらった、検査してもらった、そのお金はどうなるんですかということです。」

 ***

 国会会議録検索システムで「鼻血」をキーワードに検索すると17件出る。そのうち6件が原発事故時の「鼻血」に関するもの。それ以外は当時の菅直人総理が消費税増税の時期を語った「鼻血が出なくなるまで」等に関するものだった。国会では宮城県内の小学校の「保健だより」なども示されていた。福島に限らず「鼻血が出て不安に思った人はいた」ということだ。

 なお、2012年3月14日の参議院・予算委員会では、当時の細野豪志大臣が「科学的、医学的な観点からは現状では健康への影響は考えられず健康調査の必要性はないというふうな判断をされているということも、これも事実として是非御理解をいただきたい。」と述べている。このことも申し添えておこう。

 ちなみに私は東京電力福島第一原子力発電所構内に二度だけ取材に入った。原発20km圏内にも複数回入っている。しかし、その間、私は一度も鼻血を出したことはない。私が「鼻血」についてハッキリと対外的に言えるのは、この自分の体験だけだ。それは鼻血が出た方も同じだろう。ただ、私は根拠がないまま他人を巻き込むことは避けたいと考えている。だから他人に対して「鼻血なんか出るわけがない」とは言わない。

 取材ではいろいろな方から話を聞いてきた。健康に不安を感じる方の気持ちも、「風評被害」に苦しんでいる方の気持ちも少しはわかるつもりだ。

 だからこそ、私自身は今後もより一層、冷静に、正しい情報の発信と正しい情報に基づく理解に努めたいと思う。
 
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フリーランスライターの畠山理仁です。私が取材現場で見聞きしたことなどを報告していきます。そこそこ週刊です。ときどきダジャレが入るかもしれません。
 
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ちょい見せ! その2
アクセスジャーナル・メルマガ版
 
漫画『美味しんぼ』鼻血騒動
【被曝との因果関係について】
 
 漫画『美味しんぼ』で、福島第一原発を訪ねた後、鼻血を出す描写が議論を呼んでいるが、5月12日発売の「ビッグコミックスピリッツ」では、双葉町の前町長が登場し、鼻血の原因は「被曝したからです」と語る場面が登場。さらに岐阜環境医学研究所所長も登場し、ガレキ処理焼却炉近くに住む住民約1000人を調査したところ、鼻血も含め、不快症状を訴える人が8割もいたと発言している。

 このことを報じた「毎日」(12日記事)は、鼻血と放射能の関係は「考えられない」との専門家のコメントも併記しているが、これは一方的との批判を避けるためバランスを取ったかたちにしたに過ぎず、批判を受けても怯まない『美味しんぼ』を紹介することが主眼と思われる。

 そもそも、放射能の健康への影響に関してはほとんどわかっておらず、子どもの甲状腺がんぐらいしか正式には認められていない。したがって、「放射能による疫学的な因果関係を証明せよ」といわれたらまず敗訴してしまう。だから、世の大半の御用学者が、「考えられない」というのは実に容易い。

 しかし、本当に住民の健康を考えればそう言い切っていいのか?

 実は原発事故の健康への影響については、すでに健康に悪影響を及ぼすことが判明している化学物質もバラ撒いた「公害」という視点から検証すれば、御用学者も「考えられない」とはいえないとの意見もある。

 例えば、今回の原発事故でも大量に飛散した放射性物質のなかにキセノン133とセシウム137がある。

 キセノン133は最も大量にバラ撒かれたとされるが半減期が5日のため健康被害は一般にはほとんどないとされる。これに対し、セシウム137は半減期30年。

 そのキセノン133は半減期5日で安定同位体のセシウム133に。さらに大気中の水分と反応して水酸化セシウムになる。また、放射性セシウムも同じく水酸化セシウムになるとされる。

 ところが、放射性でなくてもこの安定セシウム、重症の不整脈を始め特に心臓に悪影響を与えることが知られている。何しろ、動物実験で不整脈誘発剤として使われているほどだ。

 この他、皮膚を腐らせ(鼻血も?)、目に入ると失明するとも。さらにがん、脳血管障害も。

 一方、同様に、放射性物質が変化すると水酸化バリウムにもなるようだ。こちらは劇薬指定になっているので健康に悪いのは明らかだ。

 これら原発事故由来の有害物質は、むろん放射性物質の検出器では検出できない。しかし、元素分析器では出来るという。

 だとすれば、こうしたアプローチからの健康被害の検証はひじょうに有効ではないのか?

 御用学者でない専門家で建設的な意見があれば、是非、お寄せいただきたい。
 
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ちょい見せ! その3
むしマガ
 
むしコラム「科学と社会」
【表現の自由と科学教育】
 
 週刊スピリッツに連載していた漫画『美味しんぼ』の休載が決まりました。作品中で福島第一原発を訪れた主人公らが鼻血を出したことが放射線被爆と関連づけて描かれており、この描写に対する抗議が福島県や政府からも出されていました。

 内容についてはまあ、放射線被爆と鼻血の因果関係は100%ありえないとは言えないものの、これまでに出ているデータを眺める限りはこの関係性はほぼ無さそうです。鼻血が出るほどの放射線量が照射される可能性もなさそうですし、疫学調査で原発周辺で鼻血が出た人数が他の地域に比べて有意に増えているという報告もありません。

 『美味しんぼ』はアニメ化にもなった長寿作品なわけですが、一漫画で描かれたことがここまで騒動になるというのは、漫画の社会的ステータスが確立されたことの証左でもありますね。今回と似たようなことを書いていたゴシップ系週刊誌もたくさんあったわけですが、これらはあまりニュースになりませんでした。少なくとも、これらの雑誌よりも美味しんぼの方がまっとうなメディアとして評価されているわけです。

 地元の風評被害が広まる恐れがあるのは事実なので、福島県などが表現のあり方について見直しを求めるのは当然のことでしょう。福島県に住んでいる人達に対する差別が生まれる可能性もあります。ただ、今後このようなケースが出たときに、抗議するのにとどまらず出版についての規制を求めるような風潮になれば、それは行き過ぎだと思います。表現の自由を守るのと同時に批判する自由も担保されればよいのですから。

 何よりも大事なことは、どのような情報であれ、それに触れたときに鵜呑みにせずにきちんと思考して判断できるようにすることです。そのような科学的思考力を子どもの頃から育んでいけば、何かの情報を条件反射で信じるような人も、自分の周りで3〜4人鼻血が出たところで「放射能のせいだ!」と短絡的な結論を下す漫画家も、疑似科学にひっかかる政治家も少なくなるはずですからね。

 現政権は小中学校での道徳教育に力を入れようとしています。しかしながら、道徳などというものは時代や場所によってくるくる変わります。そして道徳的な考え方がアダとなって「食べものにありがとうと言い続けると腐らない」などというアレなことを教える教師が出てくることもあります。

 そんなものを教えるくらいなら、科学リテラシーを義務化した方が200万倍くらい有益です。とりあえず子どもに教える前に政治家(とくに現文部科学大臣)や学校教師に科学リテラシーを身につけてももらいたいところですね。
 
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【ちょい見せまぐ!】 2014/05/20号(毎週火・木曜日発行)
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