最近証券アナリストの間では、「東京市場は為替離れした」という見方が多くなっていました。為替市場で円が高止まりしていたからですが、実際は「為替離れ」などしていないどころか、かえって連動性を強めていたのです。
その意味では現在の円安株高は好ましい限りで、もっと円安が続いて欲しいところです。また実際そうなるでしょう。
円がなぜこれほど下がるのか。
直接の切っ掛けはサンフランシスコ地区連銀が調査リポートで、「投資家はFRBによる利上げペースを過小評価している可能性がある」と指摘したこと。これがあります。市場はFRBのイエレン議長が前々から予告している利上げ方針を甘く見ているのではないか。こう強調したのです。
しかもサンフランシスコ連銀はイエレン議長のお膝元。イエレン議長はサンフランシスコ連銀の総裁でもあったことから、連銀のレポートは議長の考えを踏襲したものと受け止められ、説得力を持ったのです。
しかしこれだけではドルはさほど下がらなかったでしょう。ウクライナと親ロシア派の停戦合意。これが背景にあるのは忘れないようにしたいものです。ドルは地政学リスクに弱く、特にウクライナ情勢が緊迫した場合、すぐに下げてしまいます。
ただあまりに円安のスピードが早く、正直困惑ですが、好ましい方向への動きです。円が対ドルで107円台なら、日経平均は昨年暮れの高値16,320円を奪還してもよいところです。しかし残念ながらそうはなっていません。
この点、どうなのか。この円安を市場は信じていないから。こういうことになります。あまりに急激に107円台となってしまったたため、輸出関連株へ積極的に投資してよいものかどうか。迷っているのが実際です。
それに円安は株式投資をする立場からは歓迎できるものの、投資していない人から見ると好ましいとはいえないところがあるからで、すでに円安弊害論が聞かれはじめているのもマイナスに働いています。
しかしこの円安は日本に起因するものではありません。ドル高によるものであり、日本経済の舵取りに問題があるわけではないため、私たちも受け入れざるを得ないのが実際です。そのため円は目先は反発があって105円台、さらには104円台に戻ることもあるでしょうが、基調はさらなる下落。こうなる確率が高いと見ています。だからといってすぐに108円とか110円になるものではありませんが、これらの水準に向かっている。こう見てよい状況ですので、目先反落局面があれば押し目買いの好機になります。
連休明けの今日は107円台前半。先週末よりも円は強含んでいるため、早速浅い調整が入ることが考えられます。
なお昨夜の米国市場はNYダウ43.63ドル高、NASAQ48.70ポイント安。両市場はまちまちの動きでした。今週16〜17日に米連邦公開市場委員会(FOMC)の開催を控えているため、様子見ムードが強かったものの、原油先物相場が上昇したことでエネルギー関連株が買われ、ダウは上昇して引けました。ただマイクロソフト、アップル株が軟調で、IT株が全体的に軟調でした。 |
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