この一週間の英国は、とても緊迫した空気に包まれていました。
政治的に動く事はないといわれたエリザベス女王が、スコットランドまで出向き、「人々は将来のことを慎重に考えてほしい」と公的に発言。スコットランド出身のブラウン元首相は、自ら戸別訪問を行い反対を訴えています。事態は、そこまで切迫しているのです。 なにしろ、一度も戦争に負けた事が無いイングランドを中心とする大英帝国が、中から壊れようとしてるのですから、この緊張は相当なものです。スコットランドが独立してしまうことによって、英国は国土と人民を失うわけですから、ただ事ではありません。 しかし、これはイングランドを中心としてきた英国が、長い間、スコットランドにたいして事実上の圧政(というより無視)をしてきたツケとも言い、半年前まで、スコットランド独立運動を「ただの妄想」と現首相はじめ、政府中枢がまったく相手にしなかったことからもよく理解できます。 現在、スコットランド外に住む出身アーティストは、自身のツイッターやフェイスブックのプロフィールに「Yes!」のアイコンを掲げはじめ、独立支援の姿勢を強めています。 先週のロイターによりますと、「英国の主要3政党は、スコットランド独立の是非を問う住民投票が18日に迫るなか、国民健康保険の支出で同地域に権限を与えるなど、スコットランドに対する高水準な政府支出を保証すると宣言した」と報道しています。 ここまで来ると、独立はさておいても、当初の目的のひとつは達成したことになり、これでは、同じようなことが英国内の北アイルランドやウェールズで起こってもおかしくありませんし、スペインのカタルーニャをはじめとする欧州内のいくつかの地域でも独立機運がさらに高まり、中央政府と強弁なやりとりがはじまるでしょう。 そんななか、18日、ついにスコットランドの独立投票がはじまりました。 いくつかの直前報道によれば、反対49にたいして賛成51と拮抗しているとのことですが、最新のブックメーカーのオッズでは、スコットランドがこのまま英国に残る確立が75%まで高まり、独立に成功する確立が、27.5%となっています。 そして、日本時間の19日15時。開票結果がついに発表されました。BBCは、スコットランドの住民投票について「独立に反対の票が半数を超え、否決が確定した」と伝えました。反対54.3%、賛成45.7%で、スコットランド独立は成就しませんでした。 この拮抗する数字は、英国が(もしくは世界が)いかに不安定であるかの現れであるように思います。それは、これから数年間の間に、世界はちょっとしたことで大きくひっくり返る予兆のように感じています。 |
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