網地島は、宮城県石巻市の牡鹿半島の突端近くにある、人口約400人の島です。石巻港からは、定期船で約一時間ほど。港の近くには、白い砂浜と透き通った海で有名な網地白浜海水浴場があります。水越さんは42歳の時、家族でこの島に移り住み、ペンションをオープンさせました。「仙台で会社をやっていましたが、週末にヨットでセイリングするのが趣味でね。網地島に停泊すると、浜で島の人達と宴会になっちゃうんです。家でお風呂入らせてもらったり、魚もらったりして。その内、都会を離れて本当に必要なものだけを選んで生活しようと思って、移住しました」7部屋ある可愛らしいログハウス風の宿や自宅は、一年近くかけて水越さんが建てたもの。宿の名物は、地元のウニやアワビなどの海の幸や、自家製のベーコン。ウッドデッキからの海の眺めは、普段の生活の騒がしさを忘れさせてくれます。
東日本大震災の時には電気や水道などのライフラインが寸断され、島は一時孤立状態になりました。津波による死傷者はいなかったものの、漁港の岸壁は大きく地盤沈下し、浜には水が見えないくらいの大量の瓦礫が打ち寄せられました。「丸太が何百本と流れて来たんです。その他にも家の屋根とか、魚が入ったままの発泡スチロールとか。毎日毎日、島のじいさん連中で漂流物を手作業で取り除いていきました。ここでは60代は若手だから(笑)」
島の人達の手で美しい砂浜を取り戻した海水浴場は、今月、震災以降初めての海開きが行われます。津波の被害を受けた公衆トイレは改修され、仮設のシャワーも出来る予定です。石巻市牡鹿総合支所地域振興課によると、震災前10軒あった民宿の内、4軒が営業を再開させているそうです。「ここは役場も警察もコンビニもないけど、あるもので工夫して生きる知恵がある。それに何故かこの島の人は、外から来た人に優しいんですよね。来てくれるだけで嬉しい、困っていたら助けようと思う。だから大勢の人に訪れてもらって、島の良さを知ってもらいたいです」東北で南国気分を味わえる網地島。普段は静かな浜ですが、この夏は久々に海水浴を楽しむ子供達の歓声が響き渡りそうです。(平沼敦子)
| | バーベキューも出来るウッドデッキ | | 朝食には水越さんお手製のベーコンサンドが並ぶ | | 子供達の持つエサを狙って船を追うカモメ | | |
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