先週発表の米雇用統計が市場予想よりかなり悪かったが、それが本稿で言う「もろ刃の剣」となって早期利上げへの警戒感が後退し、ホッとした面もある。今の日本市場で直近での最大のリスクはNY株の大幅下落だが、これを「もろ刃の剣」で防止し得たから、当面は底堅い動きだろう。
日本市場には7ヵ月に及ぶ熱いマグマが蓄積されていよう。日本株は「時価総額・VS・GDP」で見れば中長期的には世界水準であって割安とは言えないが、PER・利回り・増益基調から見て割安だし、海外要因の地政学上のリスクは、市場が徐々に「消化」しつつある(露骨に言えば「慢性になって効かなくなる」)から、日本株は当面底堅いであろう。
ただ、目先的に注視すべきことがある。下記に要約する。
8日はSQ算出日だ。このとき夏季休暇に入る投資家が多く、商いは薄くなりがちの所を、一部のヘッジファンドが先物主導の売買を仕掛けるだろうから、薄商いの場面の故に大幅な値動きを起こす可能性がある。
為替は基調として円安。その背景は割愛する。
7、8日(木、金)に日銀の金融政策決定会合があるが、これは無風状態だろう。米では5日(火)に7月の非製造業景況感、8日(金)に4〜6月の単位労働コスト(FRBが重視する賃金指標)の発表がある。
そして、移動平均200日線をはさんで膠着状態だった市況は変化の兆しを見せ始めた。今までの米経済の低迷は寒波の影響だったと次第に判明しつつあるし、雇用の増加は先日の発表が市場予測より悪かったとは言え、6ヵ月連続で20万人を越えた。一説によれば「20万人」というのは日本株式市場の活況の目安が売買代金「2兆円だ」というに等しく、FRBの雇用の力強さのメドとされるという。また、FRBの政策運営目標には日銀と違って雇用の問題が明文化されている。
これ以上は割愛するが、要するに米景気の好調を確認し始めたということだ。これが米ドル高に当然繋がる。200日線で膠着していた円相場は動意を見せるだろう。そのうちに「これ以上の円安は困る」という声も出ようが、それはそれで結構なことである。 |
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