高杉さんは「野馬追があるから震災を乗り越えることが出来た」「野馬追に出るために、相馬に戻ってきた」という侍たちの言葉に興味を抱き、「野馬追」とともに生きる彼らの様子を取材しました。高杉さんは、何度も福島に足を運んで侍たちと交流を続け、一人一人のストーリーを聞きながら、それぞれの方の大切な場所でポートレートを撮影しました。
壊れた自宅の軒先で、衣装をまとう「侍」や、神社の境内ではじめての参加に緊張した表情を浮かべる少年の侍、馬が心配で避難先から戻ってきたという少女の侍が、カメラを見つめています。津波で自宅を失った人、原発事故で自宅に帰れなくなった人のほか、事故を起こした福島第一原発で働く職員もまた、侍として「野馬追」に参加し、「野馬追」で繋がっています。
「単なる震災のレポートではなく自、そこに生きる人たちの生き様を、野馬追を通じて描きたかった」と話す高杉さん。
ギャラリーに立ち30人の「侍」を前にすると、大切な物を持つ人の強さ、不器用さの裏にあるもろさ、そして「この土地に生きること」を選択したひとたちの覚悟と優しさなど、様々な思いが押し寄せてきました。
一言では語ることの出来ない「震災以降」という時代の生き方を知るきっかけがここにあるかもしれません。高杉さんの作品を通して「侍」の生き様を感じてほしいと思います。 (取材/岸田浩和) | | 会場には、30名の侍たちのポートレートとが並ぶ。一人一人のバックストーリーを記したキャプションも必見。 | | 写真の美咲さん(15)は、放射能の影響があるからと避難したものの、馬を残してきていたのですぐに帰った。2011年の野馬追は、震災後で開催が危ぶまれたものの、彼女をはじめ80騎の参加があり、1000年の歴史を未来に繋いだ。 | |
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