冷泉彰彦 現在、プリンストン日本語学校高等部主任。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を隔週寄稿。「Newsweek日本版公式ブログ」寄稿中。NHK-BS『cool japan』に「ご意見番」として出演中。 アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」『冷泉彰彦のプリンストン通信』では、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届け! | アメリカでのLRTは現在少しずつですが、普及が進んでいます。基本的にアメリカはクルマ社会ですが、その中でいわゆるヘビーレイル(本格的な専用軌道の鉄道)というのは、1950年代以降はなかなか交通機関の主流になれずにいるわけです。 その一方でLRTはここへ来て普及が進んでいます。理由としては2つあると思います。一つは都市の中に溶け込んで、観光の効果を含めた活性化の起爆剤にしようというものです。外見やサービスの利便性ということで、郊外から都市に流動と経済を取り戻すということ、その際に比較的コストが安くて済むということで、評価されています。 もう一つ、アメリカの場合は都市人口の中にある貧困層対策です。アメリカには通勤手当という考え方がないために、時給の低い仕事に就かざるを得ない層には、郊外型通勤電車というのは高値の花になるわけです。その結果、高額な中距離鉄道よりも、均一料金のバスや地下鉄がないと困るという層が多数存在します。 私の住むニュージャージーでも、ニューアーク市内のLRTは正にこの「都市型」プラス「貧困層対策」というコンセプトの代表例だと思います。また、トレントン=カムデン線というのもありますが、こちらは郊外型のLRTですが、やはり目的は貧困層対策です。 そんなわけで、社会的な背景にも押される形でアメリカでのLRTは地味ではありますが、普及のプロセスに入っているようです。改めて詳しく調査して、いずれ交通論のコラムでも取り上げたいと思っております。 |
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