9月の頼もしいほどの上昇と、月が変わったと同時に起きた急落。これらが何故起きたか。
おさらいしておきますと、
(1)地政学リスクの後退 (2)米国の政策金利引き上げ方針確認
この2つが支援材料になってくれました。通常株式市場は、政策金利に対して敏感で、通常はそれが上がるのを好まないのですが、いまは米国もゼロ金利時代。正常な形ではないため、今後の利上げは金融の正常化と見られてドルが買い戻されます。ところがこれまでウクライナを巡る欧米とロシアとの対立など3つの地政学リスクがあって、それがうまく機能しなかったのです。
9月は地政学リスクが大きく後退したことで、ドルは上がりやすくなり、逆に円は下がりやすくなって先週は一時110円があったほどです。
これはこれで問題ではあるものの、東京市場が待望しているのは円安なので、この一点だけを見ると非常に満足すべき情況が訪れたことになります。
それなのに先週は暴落に近い大幅下落。とんでもない展開になったわけですが、円の下落スピードが早すぎ、その反動に見舞われた。これが最大要因になります。
円の下落スピードに比べると日経平均の上昇速度はさほどでなかったものの、それでも先々週は昨年暮れの高値16,320円を突破、9月25日には16,374円の高値に進みました。
当然高値への警戒感が出てくるところであり、私も高値波乱への警戒を呼びかけて来ましたが、それは意外なことを切っ掛けにして形になりました。
香港での民主化運動拡大です。香港での行政長官選挙の選挙制度を巡り、高校生を中心とする民主化運動が起こり、都市機能が麻痺するような情況となりました。米国市場がそれにいち早く反応、NYダウが軟調になるとともにドルが急落してしまいました。
東京市場にとって、香港での民主化運動それ自体より、ドルがどうなるかが問題。それが急落したのですから、市場はびっくり仰天したというのが実際です。何しろ10月1日には110円まで下げていた円は、翌日の2日には108円台半ばに戻りました。
一日に1円50銭ほども上がったわけで、これでは東京市場はたまったものではありません。ご存じのような急落が起きてしまったわけですが、幸い今日は情況が急好転することになりそうです。
先週末の米国9月雇用統計、これが素晴らしいものでした。前回は非農業部門の雇用が14.2万人にとどまり、市場は失望したのですが、今回はなんと24.8万人の増加でした。それに失業率も5.9%と前月から0.2ポイントの改善でした。
FRBのイエレン議長がもっとも重視しているのが、雇用関係の統計です。それらの中で市場がもっとも重視しているのが雇用統計であり、それが明らかに改善していたのですから米雇用情勢が好転中との見方から株式市場もドルは上昇し、株式市場も歓迎高となりました。NYダウ208.64ドル高、NASDAQ45.43ポイント高となりまた。円は対ドルで109.73〜76円まで下げました。1円近い下落でした。
今日の東京市場がこれらを無視して下げてしまうことは、まず考えられません。先週下げた分を一気に取り戻すほどの急回復は無理でも、最低でも150円以上は上がってもおかしくないところです。楽観的に見るなら水準も16,000円に迫るか、越えることもあり得ます。
香港の民主化運動がまだ収束しないため、今後も上昇が続くか見極めにくいところがあるものの、先週大きく下げたことで市場は今日の反発で落ち着きを取り戻し、また少し下げることがあるでしょうが、円の下落基調が変わらない以上、またゆるやかに上値を目指す。こんな展開が想定されます。 |
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