2014年10月11日土曜日

ぼくらが東北に向かう理由、大槌から世界へ伝えるメッセージ、世界一自由なランイベントが気仙沼〜石巻で開催、鯖のオリーブオイル漬けを紹介。【東北まぐ】

2014/10/11 ※サイトで読む 配信中止はこちらから
東北まぐ
思ったよりも早く通り過ぎた台風、まだ強風にあおられていますが「ファーム白石」の野菜は、頑張ってます!
(福島県いわき市)
撮影/筥崎晋「ありがとうファーム」 関連記事/ファーム白石 ありがとうファーム
はじめに
 
渇きと優しさ。
取材で岩手県大槌町にあるコラボスクールを訪問した。大槌町と福島県大熊町出身の生徒が一緒に取り組んだ、海外に被災体験をつたえるプロジェクトの話を聞くためだ。参加した高校一年生の女子生徒にインタビューを行う。

彼女は、友人に投げかけられた取材記者の心ない言葉に本気で怒り、ふるさとを失った福島の友人の肩を抱き自分の事のように涙を流す。沢山の生き死にや、大切なものの消失に直面した彼、彼女らは、想像を絶するぐらいの渇望と優しさを持っている。言葉があまりにもまっすぐなので、インタビュー中にこちらが動揺してしまう。

彼女は帰り際、最後に伝えたいことがあると話してくれた。「いま、近くにいる大切な人たちに、ありがとう、愛していますと何度でも直接伝えたほうが良いとおもいます。それが、本当に幸せな事だと気づきました。もう、誰にも同じような後悔をしてほしくないんです」

彼女が大勢の前で自らの被災体験を話し始めた理由がわかった。
小学校6年生で被災し、3年間かけて考えた彼女なりの覚悟だ。

震災以降の東北沿岸には、こういう思いを持った人たちが、何十万人も暮らしている。
日本に暮らす私たちは、わずかな労力と時間を割くことで、彼らの言葉に触れること、彼らが直面した自然の力を目の当たりにすることができる。

東北まぐ、第39号をお届けいたします。
岸田浩和
 
行ってきました東北 大槌編
OECD東北スクール/世界に伝えるメッセージ
行ってきました東北
小学校6年生の時に震災を経験した、中井李乃葵さん。
今年の8月にパリを訪問し、自らの経験を通じたメッセージを訴えた。
 
2014年8月の下旬、岩手県大槌町に住む高校一年生の中井李及葵りのあ さん(16)は、フランスのパリにあるシャン・ド・マルス公園に立っていました。エッフェル塔がすぐ後ろにそびえたつステージの上から、多くの聴衆に向かって、震災とそれ以降に起った自身の体験を話します。地元フランスの方だけでなく、世界中からパリに旅行でやって来る観光客が、中井さんの言葉に耳を傾けました。

この取り組みは、OECD(経済協力開発機構、本部パリ)の呼びかけと文科省や福島県の協力で生まれた、「OECD東北スクール」というプロジェクトの一貫です。
福島、宮城、岩手の被災地から中学生・高校生約100人を集め、2年半にわたる準備を経て、「2014年8月、パリで東北の魅力を世界にアピールするイベントをつくる」という、プロジェクト学習をその内容としています。
この震災を乗り越えて、新しい東北を創り、世界へアピールすることが大きなテーマとなっており、生徒たちは自らの震災体験を振り返り、仲間たちと議論を重ねて発表内容を作り上げ、900日に渡る歳月をかけてパリで行われる発表に向かいました。

2012年にプログラムが始まった当初は、人前で話す事が苦手で英語もままならなかったと言う中井さん。初めは「これで発表出来るのだろうかと不安でいっぱいだった」中井さんは、原発事故でふるさとに帰ることが出来なくなってしまった福島県大熊町の生徒らとチームを組み、「震災前」「震災時」「今・未来」の写真展示を企画し準備を進めます。しかし、福島の生徒と頻繁に会う事が出来ないためコミュニケーションが上手く行かず、なかなか納得のできる企画内容に落とし込むことが出来ませんでした。
 
時間ばかりが過ぎてしまい、危機感を感じた中井さんは、もう1人の大槌のメンバーと一緒に福島のメンバーが暮らす避難先を訪れます。「福島のメンバーに遠慮があって、彼らの心に踏み込めていなかったんです」と中井さん。「街が壊れてしまったのは同じだけど、復旧すれば再び住むことが出来る自分たちに対し、福島のメンバーはふるさとに帰ることが出来ない。その部分に触れることが出来ずに、企画の肝心な部分が話し合えていなかったんです」

中井さんの行動で、福島の生徒たちとも腹を割って話す事が出来るようになりました。この機会を通じて「避難先から戻れない福島のメンバーの状況は、自分たちと大きく違うし、抱えている問題も異なります。でも"伝えたい"という根っこの部分は同じだ」と気付きました。
被災当日、メンバーがそれぞれの場所で「学校」にいた事をモチーフに、大槌と大熊それぞれの置かれた状況の違いを、授業のような形で写真と映像を用いて説明する企画が固まりました。
発表当日は、エッフェル塔のすぐ横に、中井さんら大槌町と大熊町の企画展示場所が設けられました。学校の教室を模したこのスペースには、2時46分で止ったままの時計が掲げられ、多くの来場者が彼女らの発表に見入っていました。「震災のニュースは知っていたが、その後そこに居た人たちがどうなったのか情報が無かった。今日は、貴重な話を聞くことができて良かった」といった感想が寄せられたといいます。

最後に中井さんは、中央のステージに登壇し英語でスピーチを行いました。震災が起きた日を振り返り「寒い中、体育館で皆でぎゅうぎゅうにくっついて、ちぎったカーテンをかぶって眠りについた」ことを話します。続いて、仲の良かった友人が、県外からやって来た記者の心ない言葉に顔をこわばらせた事を、力強い口調で英語で聴衆に伝えます。「どうしてこの記者は、こんな言葉を掛けてきたのかと考えた時に、"それは他人事だから"だと気付いた」という中井さんは、何ごとも自分ごととして受け止め、行動することの大切さを感じたと力を込めます。

最後に中井さんは、津波で大切なモノを失った経験を話しました。「災害だけでなく、病気や事故によって大切な『今』を、一瞬にして失う可能性は誰にでもあります」と訴え、「大切な人に『ありがとう』『ごめんね』『愛しているよ』という思いをきちんと伝えて欲しい」と、力強い言葉で伝えました。
「プログラムはこれで終わったけど、自分たちの役目はまだたくさんあります」と笑顔を見せる中井さん。「震災を経験した私たちだからこそ発信出来るメッセージを、世界に向けて伝えて行きたいです」と話します。
(インタビュー・編集/岸田浩和
 
行ってきました東北
フランス、パリのシャン・ド・マルス公園の会場。右手に見えるテントブースで大槌・大熊の合同チームが、写真と映像を使った発表を行った。中井さんは、公園中央のメインステージで単独のスピーチも行った。
 
行ってきました東北
学校の教室をモチーフにしたブースで、岩手県大槌町と、福島県大熊町のメンバーがそれぞれ映像や写真を使って、震災前後の故郷の変遷と、今後の取り組み、自らのメッセージを伝えた。
 
行ってきました東北
地元フランスだけではなく、世界中からパリやって来た観光客らも展示ブースにやって来た。「震災のニュースは衝撃だったが、その後の情報が無く気になっていた」「被災した地域のさまざまな取り組みを聞けて、自分たちのためになった」「震災の教訓を生かした皆さんの言葉に感動した」などさまざまな感想が寄せられた。
 
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Information
OECD東北スクール
大槌臨学舎(取材協力)
 
ランナー自身がすべてを選択する、
究極の東北ランイベント
第2回ウルトラシャルソン、気仙沼〜石巻間で開催決定!
東北だより
第1回ウルトラシャルソン、ゴールの様子。
10月31日から11月はじめの5日間、宮城県気仙沼市〜宮城県石巻市の間で、第2回大会が開催される。
 
参加者と開催地域の双方から大好評を得たウルトラシャルソン。8月に行われた第1回大会に続き、早くも第2回大会の開催が決定しました。今回は、宮城県沿岸の最北に位置する気仙沼市から石巻市を目指す100km超のコースを舞台に、10月31日からの5日間をかけて走ります。現在、専用サイトが開設され、全国からの参加者を募っています。

参加者の声

「自分の足で砂利を蹴りながら峠を越え、盛り土で新しくなった道路の感触を足裏で感じることで、いま自分が東北の沿岸地域に立っているのだという実感がわいてきました」と話してくれたのは、京都から参加した上田拓明さんです。「テレビでは聞こえてこなかった、幾十もの町の生活音や波の音が、360度全ての方向から耳に飛び込んでくる」といいます。「地元の人たちも一緒に寝食をともにしながら、数日間を過ごすことで、参加しないと見えない現地を知ることが出来ました」と上田さん。最初は、途方もない距離を怒濤の日程で走りきることに不安があったといいますが、今は楽しい思い出しか残っていないそうです。毎晩のように初めて出会う人たちと、その土地の歴史と未来について語り合う日々は、決して忘れることの出来ない心を揺さぶられる体験でした。これこそが、ウルトラシャルソンにしかない「価値」だと上田さんは実感しています。
「現地に行ったことのない人も、ランニングに自信がなくても、もし東北を知りたいのであれば、是非参加を考えてみてほしてほしい」と話します。

東北でシャルソンを行う理由

シャルソンは「ソーシャルマラソン」の略称。東京・世田谷で始まり全国に波及している、走ることを通じてまちを再発見し、人と人とがつながるランニングイベントです。
東北で開催される「ウルトラシャルソン」は、東北の震災被災地沿岸を走りながら、津波被害の甚大さ、その後の復興の姿を体感することを目的にスタートしました。また、その地域に住む人たちと会話をすることで、ランナーが自らその地域の魅力や課題を発見し、SNSを通じて発信していくことで、「東北のいま」を伝えることが目的の大会です。
 
ランナーに託す思い

この大会の主催者で、シャルソンの発案者でもある佐谷恭さんは、この大会の魅力を次のように話します。「シャルソンはレースではありません。決められたコースもありません。スタートからゴール地点に至るルートはランナーが自分なりのテーマを持って選び走っていただきます」。一人でも多くの方に東北の今を実感してほしいと願う佐谷さんは「リアス式海岸を沿う過酷なアップダウンをものともせず、浜や集落に眠る魅力を自ら発見して、自らの言葉で発信してください」と参加を呼びかけます。
 

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Information
ウルトラシャルソンwebサイト
参加申し込み
 
今月のお取り寄せ
国産サバのオリーブオイル漬 サヴァ缶(170x×6缶セット)2,332
 
今月のお取り寄せ
たっぷりのオリーブオイルに漬かった鯖がゴロゴロと入ってます。
  東北まぐ編集部
イチオシの理由は?

今月は岩手県の一風変わった缶詰をご紹介致します。
海外の缶詰のようなちょっとオシャレなパッケージのコチラの商品。実は鯖のオリーブオイル漬けなんです。ということで、実際に試食してみました。缶を開けると、ホロホロの鯖がゴロゴロと出てきます。鯖というと独特の臭みが苦手という人もいるかも知れませんが、このサヴァ缶は全く臭みを感じません。むしろ、オリーブオイルの香り甘みが感じられます。

今回はサラダに乗せ、オリーブオイルをドレッシング代わりに食べてみました。野菜と魚というとあまりマッチする印象はなかったんですが、こちらは最高!魚から出た旨味がオリーブオイルにより全体に行き渡り、非常に美味しかったです。

そのまま食べてももちろん美味しいですが、洋風なテイストなのでパスタやサンドイッチの具材としても非常にマッチしそうです。それでいて、ご飯との相性も良さそうなのが魅力です。

今月のお取り寄せ
海外のスーパーで売ってそうなオシャレなパッケージがひときわ目を引きます。

「サヴァ?」とはフランス語で「元気?」の意味。元気を取り戻しつつある岩手県の新名産缶詰、ぜひお取り寄せしてみてください。

ちなみに東京にお住まいの方は銀座にある岩手県のアンテナショップ「いわて銀河プラザ」でも購入できますので、近くに行かれた際にはこちらもぜひチェックしてみて下さい!

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らら・いわて
 
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【東北まぐ】 2014/10/11号 (毎月11日発行)
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