この話は今までと少し違うんです。小説なら、作家が頭で考えて書いているから、こういう事件が起こって、その後こうなって、最後はこんな形で終わる、と言うように筋書きがある訳です。でも、真実はそんなことはありません。この話は、まったくの箇条書き状態なんです。ある人が見たものを、聞いたまま伝えているのですから。だから読んでいる皆さんに判断してもらいたいんです。もしかするとこれは、怪談話じゃないかもしれない。逆に言えば本当の怪談話なのかもしれない。 この話をしてくれた人は、詳しくは申し上げられません。仮にMさん、としておきましょうか。このMさんに困り果てて相談しにきた人がいるんです。この話の主人公というべき人なんです。この人を仮に、足立さん、としておきましょう。足立さんはとある実業団野球のピッチャーなんです。 すべての始まりは、この電話だったんです。この日の朝、足立さんが出かけようとした時、 "トルルル……トルルル……トルルル" 居間で電話が鳴った─ |
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