先週土曜日猪瀬直樹さんとご飯を食べました。一昨年、東京都知事に立候補する直前に大阪でご飯を食べていますから、丸2年とちょっとぶりですね。会食メンバーは私と、某テレビ局の中堅記者、それに猪瀬さんの3人です。元々もう一人、維新の党の有力メンバーが参加する予定だったんですが、何せ突然の解散総選挙になってしまいましたから直前にキャンセルとなり、3人での夕食になりました。場所は西麻布の猪瀬さんの事務所兼自宅の近くです。こういう時の話題って、結構悩みますよね。お互いプライベートなメールアドレスを知っている間柄ですから、そんなによそよそしい関係ではありませんが、かといって幼馴染みのように、犯罪ですら冗談に変えてしまえるほど親しいわけでもありません。その上、今回はこちらから会食にお誘いした手前、そんなに失礼なことは訊けません。もしあなたが私の立場なら、どうです?例の5000万円の話をどのタイミングで、どうやって切り出しますか? こちらの申し出による会食ですから、勿論支払いはこっち持ちですが、会場選びは猪瀬さんに任せました。で、予約してもらったのは猪瀬事務所から100メートル程のモダンなたたずまいの割烹料理屋さんでした。やっぱり今でもあんまり目立つ場所には行きたくないんでしょうね。この店、古い民家を改装したような作りの一軒家レストランなんですが、聞いたら、わざわざこのレストランのために建てたんだそうです。大きさはあたりの家並に溶け込む普通の木造2階建てで、入り口の暖簾に気が付かなければ、レストランとは知らずに通り過ぎてしまいそうです。それにしても一等地です。何せ地下鉄銀座線の表参道駅からゆっくり歩いて10分もかかりません。ちょうど根津美術館の裏側くらいの位置関係で、見上げれば六本木ヒルズが目に入ります。ヒルズまで多分歩いて10分くらいでしょう。ちょっと運動するつもりなら、渋谷も十分徒歩圏内です。 このレストランからほど近い猪瀬さんの事務所は、コンクリート打ちっぱなしの4階建てくらいの大きな建物です、1階から最上階までの吹き抜けには巨大な本棚が壁一面に天井まで伸びています。その上プールとジャグジーがあるんです。初めてお邪魔した時にはその大きさに「作家ってこんなに儲かるのか?!」と度肝を抜かれたんですが、今回改めて聞いてみると「土地は30坪ちょっとくらいしかないよ」とのこと、てことは容積率がかなり大きいんでしょうね。とても30坪の土地に建つ建物には見えませんでしたから。ちなみに一階の駐車場には赤い皮シートのベンツSLが停まっていました。 さて会食当日、私は待ち合わせの1時間前についてしまい、することが無かったので、ネットで周辺の地価を調べてみました。どんぴしゃりの場所に売り物件はありませんでしたが、周辺を調べると坪500万円くらいです。30坪で1億5000万円!バブルの時なら上物込みで軽く3億はしたでしょうね。猪瀬さん、実はお金持ちです。ちなみにここはあくまでも「アトリエ」、すなわち猪瀬さんの執筆場所で、町田市には奥さんが亡くなるまで一緒に住んでいた自宅が思い出と共にまだあるそうです。こちらは60坪くらいの土地付きの一戸建てで、総建築費が1億3000万円だったそうです。ちなみに猪瀬さん、同席した記者に「4000万円で買わないか?得だぞ!」としきりに勧めていました。渋谷まで電車で30数分ですから、私が東京に住んでたら考えますね。今東京では、中心部の異様な不動産ブームと裏腹に、少し郊外に出ると、バブルの頃には考えられなかったような安値で不動産が取引されています。私が住んでいる大阪枚方の「高級」住宅街で60坪の土地付き一戸建てを買おうとすると、場所によっては1億円くらいしますから、もしかすると郊外の家の値段は大阪の方が高いかもしれません。ただ大阪の場合、中心部の値段は東京に比べるとバカみたいに安いです。新大阪駅界隈の中古ワンルームマンションなら200万円台からありますからね。築40年、北向き、19平方メートル、ベランダ無しって物件ですが。 いかん、こんな話をしようと思ったんじゃありません。皆さんが知りたいのは、猪瀬さんの近況と、例の5000万円問題ですよね。私は会食前、「今日はオリンピック招致合戦のさなかに亡くなった奥さまのお悔やみを述べ、失脚後声をおかけすることのなかった無沙汰を詫びる場にして、5000万円の話はせずに楽しくお酒を飲もう」と考えながら会場に向かいました。ちなみにこの西麻布一帯は都会の中に突然出来たクレーターの内側のような窪地で、すぐ隣に青山墓地が広がっています。この界隈の事情について何も知らないで言うんですが、「墓の隣」という場所柄が地域の開発を妨げ、「ロストワールド」のように閑静な住宅街として残ったのかもしれません。それが当たっているのかどうかは分かりませんが、そんな想像がぴたりと合う、エアポケットのような不思議な空間です。 会食の話題は、まずは猪瀬さんの近況からスタートしました。話の中心はもっぱら、オリンピック招致の苦労話と亡くなった奥様の思い出です。猪瀬さんは最近マガジンハウスから「さようならと言ってなかった」という新刊を出していて、この中には奥様が脳腫瘍を発症してから亡くなるまでの事が詳細に記されています。ちょっと百田尚樹氏の「殉愛」を思い出しました。奥様は、腫瘍が大きくなって少しずつ言語の機能に異常が出始めて初めて受診し、しかしその時には既に手の施しようが無かったそうです。驚いたことに、その一年前に彼女は脳ドックで精密検査を受けていて、その際には全く異常が無かったらしいです。「医療ミスでは」と思った猪瀬さんが一年前の脳ドックのMRI画像などを取り寄せて精査してもやはり全くの異常なし、てことは、成長の早い脳腫瘍には脳ドックは無力ってことですよね。実は私、今年の夏に入った人間ドックで脳の検査をしてもらって、「異常なし」のお墨付きをもらってるんですが、そんなに安心できたもんでもなさそうです。なんて書いているうちに、徳洲会から受け取った5000万円の話を書くスペースがなくなって来ました。猪瀬さん、これについて実はかなりフランクに経緯と心境を語ってくれました。来週書きます。 |
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