再開したサーフィンから、海は見えなくなってしまいましたが、常磐線の「常磐湯本駅」から近いこともあり、これまでのお客さんとともに、震災後にサーフィンの事を知ったお客さんも、お店に足を運んでくれるようになりました。 「この店の中だけ、別の時間が流れているようでしょ」と話すお客さんの一人は、「何か考え事をしたいときとか、リラックスしたいときには、ここに来るんです。東京に行かなくても、近くにこんなお店があるんでありがたいですね」と笑います。 長年積み上げてきた多くのものを失い、失意にあった富子さん。それでも「もう一度、お客さんにくつろいでもらえる場所を提供したい」という熱意が富子さんを突き動かしました。 帰り際、「実はね」という富子さんが「今、入っている湯本のこの建物も、近いうちに老朽化で取り壊しになるんです。この場所も、もしかしたら長く続けられないかもしれない」と話してくれました。「でもね」と富子さんは顔を上げ、「自分の力だけではどうにもならないことも、人の助けを借りることで、乗り越えられることを知った。今は不安よりも、なんとかなるという安心がある」と話してくれました。彼女には「私はもうこれ以上悲しみたくない。だから、これからの人生は楽しいことで思い出を埋めていきたい」という、強い思いがあります。 店先まで見送りに来てくれた富子さん。「なすがまま、店の名前のように、いい流れに身を任せて進んでいこうと思います!」と、手を振ってくれました。 (岸田浩和) | | 店内のインテリアや販売されている小物は、すべて富子さんが集めた、こだわりの品。 評判の美味しいコーヒーや、ケーキメニューがおすすめ。 ランチには、パスタメニューも人気だ。 湯本地区に再オープンした「サーフィン」の外観。 Information ● カフェサーフィン 福島県常磐湯本町天王崎26 TEL:0246-43-0381 毎週月曜・日曜休 10時〜18時ごろまで(LO 17:00) | |
0 件のコメント:
コメントを投稿