日本でも少しは報道されたと思いますが、Fergusonでの事件が、大方の予想通り暴動にまで発展しました。 この件は、今年の8月10日に、18歳の黒人の少年が、Ferguson市の警察官(白人)に銃殺されるという不幸な事件から始まりました。少年が丸腰だったこと、目撃者の証言がまちまちだったことから、「黒人の命を軽視する白人警官による殺人」という見方をする地元住民(主に黒人)たちと、「その少年は寸前まで万引きを行なっており、これは警察官による正当な公務執行中に起こった不幸な出来事」とする警察との対立状態が作られ、緊張状態が続いていました。 その後、この警察官を殺人もしくは重過失致死の罪で刑事告発するかどうかを決めるプロセスがgrand jury(一般の住民12人から構成され陪審員)により開始されましたが、刑事告発しないことが決まった場合には、それを不満にした住民による暴動が起きる可能性があると心配されていました。 11月の24日には、その少年が逮捕に抵抗して警察官に殴りかかっていたという証言と証拠(警官の顔についた傷)により、刑事告発しないことが決まりましたが、その結果、予想されていた通り暴動が起きてしまいました。 この事件ほど、米国の暗部を象徴するものはありません。拡大するばかりの貧富の差、いまだに拭うことの出来ない人種間の対立、野放し状態の銃などなどです。 こんなことを書くと「米国は怖いところ」と勘違いする日本人も多いのですが、実は違います。米国における地域格差は日本よりも激しく、Fergusonのように危険な街もあれば、Seattleのように安全な街もあります。同じSeattleでも、高級住宅地とそうでない地域には雲泥の差があり、Seattleの高級住宅地は日本の高級住宅地よりも安全という逆転現象さえ見られます。 人種差別や地域格差の問題は、大局的な話には全員が賛成だけれども、いざ個人レベルになるとそうも言っていられない、というのが正直なところです。 私自身、仕事の場では「人種で人を判断するのは間違い」と発言するし行動もしていますが、夜道で黒人とすれ違うと身構えてしまうのは避けようがありません。黒人には貧しい人が多い、貧しい人には犯罪者が多い、という事実がそのバックグラウンドにはあります。 住む場所を探す時にも、自分の収入が許す限り高級な住宅地に住んで安全を確保したいと思うし、自分の子供たちは裕福な家庭の子供たちが来る公立校に入れたいと思うのが親心です。しかし、そんな人々の行動が、結果として地域格差を拡大し、貧富の差が世代を跨いで連鎖してしまうのです。 ちなみにもう一つ付け加えておくと、この手の暴動をエスカレートさせる人たちは、実は主義主張もない便乗者たちだというのも問題を複雑にしています。Fergusonの暴動も、大半の人たちは平和的に自分たちの意見を市や国に伝えようとしているだけですが、ごく一部に、この手の暴動に乗じて、小売店などから強奪をしようとしている人たちがいるため、あんなことになってしまうのです。 |
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