冷泉彰彦 現在、プリンストン日本語学校高等部主任。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を隔週寄稿。「Newsweek日本版公式ブログ」寄稿中。NHK-BS『cool japan』に「ご意見番」として出演中。 アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」『冷泉彰彦のプリンストン通信』では、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届け! | 実は、「アメリカの方は冷静ですよ、フード・ファディズムは、そんなにひどくはないですよ」と申し上げたかったのですが、とんでもありません。アメリカという社会は、フード・ファディズム、つまり食文化に関するムード的な流行現象というのは、日本以上に激しいように思います。 例えばダイエット食というのは、様々なものが手を変え品を変えてブームになっていますし、中には「炭水化物カット」などという医学的に否定されたものもあるわけです。オーガニック食品のブームも根強いものがあり、その中には根拠のあるものもあれば、怪しい物もあります。 そもそも、様々な宗教に加えて、ベジタリアニズムなど食に関しての「主義主張」も色々と体系化されており、栄養や味といった「食そのもの」だけでなく、そこに意味合いとか効果といったものを持ち込みたがるカルチャーは、アメリカの場合、強くあります。そうしたカルチャーが、一時的なブームの温床としてあるということが言えるでしょう。 例えばですが、アメリカの場合は「積極的に効果がある」的な流行が多い一方で、日本の方は「この食品は危険」といった忌避が流行するという違いがあるかというと、それも良く分かりません。アメリカにも、何かあると忌避してしまうというのは結構あります。ただ、科学的に問題がないという情報がきちんと流れば、沈静化は早いことが多いです。例えば、311の直後に、一瞬ですが日本食とか寿司は何でも「危ない」的なデマが部分的に出ましたが、影響らしい影響が出る前に沈静化しました。 もしかすると、現在の日本で見られる「食の危険」への過剰反応に関しては、アメリカ由来のものであって、それが日本の社会にある「不安感情」とシンクロして起きているのかもしれません。それにしても、牛乳が危険という本が出まわるというのは、かなり問題ですね。 |
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