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◆ やぶ医師のひとりごと 第 287 号 ◆
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2011年7月15日発行 購読者数 9683名
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ブログ:「健康、病気なし、医者いらず」
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<本日のテーマ> 認知症の原因
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皆さん、こんにちは。
今回から購読して頂いた方、はじめまして。
循環器内科医のDr. Iです。
○ガンの民間療法なら!
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このメルマガでも何回か書いていますけど。
日本人の死因で一番多いのは「ガン」です。
心筋梗塞と脳卒中を合わせたのと同じくらい、
たくさんの方がガンで亡くなっているんですよ。
ガンの治療としては、手術、化学療法、放射線療法、
っていうのが主な治療なんですけどね。
残念ながら、それらも万能ではありませんから。
最近は「代替治療」というのが注目されています。
その中でも、一部の漢方薬は世界中で研究が進んで、
効果がみられているものもあるんですよ。
有名なのは、「天仙液」って言われているものですかね。
中国、香港をはじめ、オーストラリア、タイでは
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今日も、元気を出して行きますよ〜♪
先週からは新しい病気というか状態、
「認知症(にんちしょう)」についてでしたね。
まずは、先週の復習。
●認知症(にんちしょう)とは
○認知症というのは、昔で言う「痴呆(ちほう)」の事。
○「認知症」自体は病気の事ではなく、
「特有の症状を示す状態」の事を意味する。
○認知症、特有の症状
▲体験した事自体を忘れてしまう。
▲物忘れをした自覚すらない。
▲徐々に進行すると、排泄・入浴・着替え等の
日常生活も困難になる。
▲理解力や思考能力が低下する。
○年齢が高くなればなるほど、認知症になりやすくなる。
○「アルツハイマー病」や「脳卒中」等の病気が
原因で認知症になる。
○病気が原因なので、治療をすれば進行を遅らせる事や、
場合によっては治す事もできる。
「認知症」というのは、昔で言う「痴呆(ちほう)」の事で、
病気ではなくて、「特有の症状を示す状態」の事を意味します。
昔の「痴呆」のイメージ通り、認知症の症状というのは、
物忘れが極端に激しくなったり、思考能力がすごく落ちて、
日常生活も困難になる、というような事です。
認知症には、年齢が高くなるほどなりやすくなって、
85歳以上だと、4人に1人が認知症になってしまいます。
認知症の原因として、アルツハイマー病や、
脳卒中などの病気が考えられています。
「認知症」そのものは病気ではなくて、アルツハイマー病や
脳卒中、脳炎など、「脳」などの病気が原因でなる
「状態の総称」の事なんですよ。
そして、病気が原因でなっているのですから、
適切に治療を行えば治ったり、進行を遅らす事も出来るんだよ、
って話でしたね。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
そんな訳で、今週も先週に引き続いて「認知症」について。
今日は「認知症の原因」についてです。
●認知症の原因
認知症の原因となる病気っていうのは、実はたくさんあって、
その数はなんと、70種類もある、と言われています。
でも、そんなの全部覚えても全く意味ないです。
そもそも、私も全部なんか知らないしねw
そんな訳で、認知症の原因となる病気の中でも、
頻度の高い病気や有名な病気。
それと、治療をすれば認知症が治る病気、
というのが大事ですから。
それらについて、勉強していきましょう。
●認知症の原因となる病気
○アルツハイマー病
認知症の原因となる病気で一番多いのは、
「アルツハイマー病」です。
認知症の約半分を占めるといわれています。
健康な人でも、年を取れば脳細胞はゆっくりと、
徐々に死んでいくものなんですけどね。
アルツハイマー病の場合は、もっと若いうちから、
脳の神経細胞が徐々に死んでしまう。
そして脳細胞全体が縮んでしまい(萎縮)、
認知症になる、と言われています。
厳密に言うと、脳の神経細胞は死ぬだけでなく、
「変性」する、という事もあるんですけど。
まあ、細かい事は良いでしょう。
アルツハイマー病が原因で認知症になったものを、
「アルツハイマー型認知症」と呼びます。
アルツハイマー型認知症の特徴は
「記憶障害(物忘れ)」です。
○脳卒中
このメルマガでも、何回か取り上げていますけど。
脳卒中というのは、脳梗塞と脳出血、そしてくも膜下出血、
この3つをまとめた呼び方です。
脳に行く血管が詰まって脳梗塞になったり、
脳から出血して脳出血になると、脳細胞に十分な
血液が行き渡らないですから。
その結果、部分的に脳の機能が失われてしまうので、
認知症になってしまうんですよ。
脳や脳に行く血管が障害されて認知症になるので、
これらを「脳血管性認知症」と呼びます。
脳卒中が原因で認知症になるのは、2−3割です。
そして、アルツハイマー病もあるんだけど、
小さな脳梗塞もある人、とかも結構たくさんいて。
そういう人の場合は、「混合型」と呼びます。
「アルツハイマー型認知症」、「脳血管性認知症」、そして、
それら両方が原因の「混合型」。
これで、認知症の大半、8−9割を占める、とされています。
○レビー小体病
あんまり聞いた事ない人も多いと思いますけど、
最近、国際的にも注目されている病気です。
アルツハイマー病、脳血管疾患に次いで多く、
認知症の1−2割が「レビー小体病」と言われています。
この病気はタンパク質の一種の「レビー小体」が脳にたくさん現れて、
神経細胞を壊していく病気です。
物忘れなどの症状があり、いっけんアルツハイマー病にも
似ているんですけど、レビー小体病の特徴は、「幻視」です。
これは漢字の通り、本当は存在しない物(幻覚)が見えることです。
それと、パーキンソン病のように、手足がこわばって震えたり、
手足の動作が鈍くなったりする事もあります。
「物忘れ」も結構おきるので、アルツハイマー型認知症、
との区別が難しい場合もあるんですけどね。
レビー小体病が原因の認知症の事は、
「レビー小体型認知症」と呼びます。
「アルツハイマー型認知症」、「脳血管性認知症」と合わせて、
三大認知症、と呼ばれる事もあります。
▲治る認知症
これまでの3つの病気が原因で認知症になった場合。
薬を飲めば認知症の進行をある程度遅らせる事はできますけど、
残念ながら今の医学では、治す事はできません。
でも、治療をすれば治る認知症もあるんですよ。
細かい病気の名前を覚える必要はないんですけど、
病気によっては治る事もあるから、きちんと診断しないと
ダメなんだな、って事で理解してくださいね。
○慢性硬膜下血腫
「脳」というのは、非常に大事な臓器なので。
「硬膜」、「くも膜」、「軟膜」という三重の膜で
覆われて、がっちり守られています。
頭をぶつけた後に出血して、硬膜という膜の下、
というか脳の側に血が貯まる病気の事を、
「硬膜下血腫」と言います。
ドーンとすごい勢いで頭をぶつけて、急に血が貯まれば、
「急性硬膜下血腫」と言うんですけど。
ちょっと頭をぶつけて、じわじわ出血して何ヶ月もかかって、
少しずつ血が貯まった場合は「慢性硬膜下血腫」と言います。
高齢者の場合は、自分が知らないうちに頭をぶつけていて、
いつの間にか「慢性硬膜下血腫」になっちゃった、
という人がいるんですよ。
そいで、知らない内に認知症が進んでしまった、
という場合があります。
慢性硬膜下血腫は、頭のCTやMRIを撮れば、
診断する事ができますし、貯まった血を抜く手術をすれば、
認知症も治ってしまうんで。
病気の事を疑って診断する、というのが大事になります。
○正常圧水頭症
「脳」というのは「髄液」という液体の中で「浮いている」
ような状態になっています。
この髄液っていうのは、自然に吸収されたり循環して、
一定の量を保っているものなんですよ。
でも、この髄液の吸収や循環が悪くなって、頭の中に貯まって、
脳が圧迫されて、歩くのが難しくなったり、物忘れ等が起きる、
という病気が、「正常圧水頭症」です。
髄液が貯まって脳を圧迫する、というのが原因ですから、
手術をしてこの圧迫を取ってあげれば、
認知症も治ってしまうんですよ。
○甲状腺機能低下症、下垂体機能低下症
甲状腺のホルモンや下垂体のホルモンが低下して、
脳の代謝も低下し、認知症になる場合があります。
これらの病気は、ホルモンの採血をすれば診断できますし、
足りないホルモンを補って病気を治せば、
認知症も治る事になります。
▲その他の認知症の原因となる病気
細かい内容はどうでも良いんですけど。
認知症の原因となる病気で、名前を聞いた事もあるなー、
っていう病気をいくつかあげてみると。
パーキンソン病、クロイツフェルト・ヤコブ病、
脳腫瘍、脳炎・髄膜炎、神経ベーチェット病、
等ですかね。
知らない病気もあるでしょうけど、
知らなくても、全く気にする必要はありませんよ。
それ以外にも肝性脳症やアルコール脳症、
それに薬物中毒で認知症になる場合もあります。
そんなわけで、本日は、「認知症の原因となる病気」
についてでした。
一部マニアックな話もありましたけど、
全く聞いた事のない病気の事は、無視して良いですからね。
そいじゃあ、今日はここまで。
いつものように、下にまとめを書いておきまーす。
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【今日のまとめ】
●認知症の原因となる病気
○アルツハイマー病
認知症の原因となる病気で最も多い。
「物忘れ」が特徴的
○脳卒中
脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、3つをまとめた呼び方。
認知症の原因疾患で2番目に多い。
□アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症で、
認知症の大半、8−9割を占める。
○レビー小体病
最近、国際的にも注目されている病気で、
認知症の原因となる病気で3番目に多い。
□アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、
レビー小体型認知症で、「三大認知症」、と呼ばれる。
▲治る認知症
○慢性硬膜下血腫
○正常圧水頭症
この2つが原因の認知症は、手術をすれば治る。
○甲状腺機能低下症、下垂体機能低下症
足りないホルモンを補う治療をすれば、認知症も治る。
▲ その他の認知症の原因となる病気
パーキンソン病、クロイツフェルト・ヤコブ病、
脳腫瘍、脳炎・髄膜炎、神経ベーチェット病、
肝性脳症、アルコール脳症、薬物中毒、など。
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【編集後記】
細かい病気の話になると難しいから。
「アルツハイマー病」と「脳卒中」、
それに、あんまり聞いた事ないかもしれないけど、
できれば「レビー小体病」という名前も知っておいてね。
それと、認知症の中でも原因となる病気によっては、
治る場合もある、って事は知っておいてね。
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