2014年11月11日火曜日

幻想的な光景を映す福島タイムラプス、第2回シャルソン写真レポート、超実用的な情報と本音が詰まった『福島のおきて』、小岩井農場6Pチーズ【東北まぐ】

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東北まぐ 2014/11/11号
東北まぐ
仮設住宅の軒先に吊るされた干し柿(宮城県登米市)
はじめに
東北取材中に、県外からやって来た人々と話すと必ず耳にする言葉があります。「実際に来てみたら、想像していたのと随分ちがった!」。現在でも東北を伝えるニュースには、「地震」と「津波」と「原発事故」の影響を感じさせる、重たい言葉が連なります。しかし、現地に足を運ぶとステレオタイプでは語り尽くせない、様々な東北の姿があります。美しい自然、独自に進化した郷土料理、興味深い文化や土地に根ざした祭りの数々……。

そこに住む人々の息づかいを感じられる距離で、ぜひ東北のいまに触れてほしいと思います。
皆さんが東北に足を運ぶきっかけとなる事を願って、東北まぐ第40号をお届けいたします。
存在するのに見えなかった幻想の世界を!
タイムラプスクリエイター・清水大輔さんの映し出す福島
「なぜか涙があふれてきました」「すごい、撃ち抜かれた。心が震える」。YouTubeに公開されるや否や、衝撃の声とともにインターネットやSNSを通じてシェアされた福島の動画があります。日本を飛び越え、海外からも賞賛の声が寄せられ、わずか半年足らずで2万回以上も再生されています。多くの人々が、「見た事のない神秘的な福島の絶景に、言葉を奪われました」と驚く幻想的な福島の動画「Scenery of Fukushima,japan Timelapse#014」。
タイムラプス
この映像を作ったのは、福島県いわき市に住む会社員、清水大輔さん(38歳)です。
海外で制作された「タイムラプス」という手法の映像を見て感銘を受けた清水さんは、震災後に自分もやってみようと思い挑戦したのがきっかけでした。
タイムラプスとは、一定の間隔をあけて撮影した静止画を連続再生するコマ撮り映像の一つで、数十分や数時間の出来事をわずか数秒の映像に圧縮して見せる事が可能です。
テレビの科学番組などで、天体が一晩かけて空に軌道を描く様子や、昆虫のふ化、つぼみが開花する過程の映像などで、一度は目にした事があるでしょう。

清水さんはこのタイムラプスを用いて、福島の夜空や夜の海岸線の撮影を行うようになりました。海外のクリエイターの映像を見て研究したり、ネットで撮影技術を調べて試行錯誤しながら、週末ごとに作品作りに没頭します。また、暗い場所と明るい場所を1枚の画像に写し込むHDRという技術を組み合わせて、人間の目では見る事の出来ない幻想的な星空の作品を発表しました。
「実際にそこに存在するのに、人間の目では捉えられない色や風景があるんです。そこを可視化してくれるのが、HDRタイムラプスの醍醐味です」。
「震災を経て、これから前に向かって歩き出そうとする人たちと、ともに頑張っていきたい」それが作品作りの熱源だと話す清水さん。普段目にする地元の浜や星空が、こんなにキレイだったのかと自分自身でも驚いたといいます。「僕の作品をみて、福島の事をもっと好きになったり、自信を持ってもらえたらいいなと思って撮影しています」。作品を見た地元の人たちから「ありがとう!なんだか頑張れそうだ」「勇気がわいた」という感想をもらい、清水さんの希望は確信へと変わります。

原発事故の影響で、「危険」とか「かわいそう」という目でしか見られなくなった福島のイメージに疑問を持った清水さんは、この土地の持ついろんな側面や可能性に気づいてもらいたいとも考えています。

「会社の仕事やボランティアを通じて社会に貢献する方法もあります。でも、もっと自分の表現を活かして、福島の役に立てるならこんな嬉しい事はありませんよ」という清水さんは、作品作りに時間をかけて表現の幅を広げようと、会社を退職し独立する道を選択しました。既に海外からも、日本の若手タイムラプスクリエイターとして注目されはじめている清水さん。福島を撮りながら培った表現技術を強みに、映像の仕事に取り組む予定です。

「これからも福島の作品は、ライフワークとして撮り続けていきます。ここが自分の原点ですから」。
(取材/岸田浩和
タイムラプス
タイムラプスクリエイター清水大輔さんの作品に映し出された、幻想的な福島の星空。

タイムラプス
キヤノンの一眼レフカメラ2台と自作のドリーで。

タイムラプス
薄磯海岸の取り壊しが決まった建物で、撮影を行う清水さん。

Information
清水大輔・YouTubeチャンネル(omame109)
開催!第2回ウルトラシャルソン
〜気仙沼−石巻間〜
南三陸−登米間を実走!写真レポート<その1>
その土地の魅力を再発見する!をかけ声に、東北の津波被災地周辺を自由に走って復興を応援する「Ultra Cialthon(ウルトラシャルソン)」。8月に釜石−気仙沼間で開催された第1回大会に続いて、宮城県沿岸部を縦断する第2回大会が開催されました。気仙沼から石巻のコースを3区間に分け、幹線道路およびその周辺を走ったり歩いたりしながら、4日間かけて走り抜けます。復興のさなかで変化を向かえる町や、未だ残された痕跡を訪問。各地を線でつないで「発見」したものをSNSで発信し、そこで生活する人々とも交流しながら、震災被災地の状況を自らで感じ伝えるランイベントです。今回は、記者が第2区間の南三陸−登米間をともに走り、写真レポートでご紹介します。

ウルトラシャルソン
第2区間の南三陸町を出発する前夜、宿泊地のながしず荘の窓を、激しい雨がたたき始めた。天気予報も雨マーク!翌日、30キロ近くの距離を荒天の中で走れるのだろうかと、不安が募った。
朝起きると、宿の窓越しに志津川湾から明るい陽が差し込んでいた。やった、晴れた!
布団から起き上がったランナーたちも窓の外を見て、あちこちで歓声を上げていた。感極まって「太陽、ありがとー」と、朝日に向かって祈っているランナーもいる。窓を開けるとひんやりした冷たい朝の空気が入り込み、かすかな潮の匂いがした。感動的な朝だ!!

ウルトラシャルソン
朝8時に、南三陸町をいよいよスタート。この日参加するランナーで記念撮影。

ウルトラシャルソン
横山小学校横の仮設住宅を抜けると、突然紅葉に色づく美しいお寺の庭に出た。日本三大不動に数えられる横山不動尊だ。紅葉と杉の木の生い茂る境内では、12年に1度開帳される不動尊に案内していただく。お寺の休憩室で、お茶をごちそうになりながら、この土地のお祭りの話に聞き入った。

ウルトラシャルソン
元気なランナー数名は、山の上にある奥の院まで走り、残りのランナーはおみくじを引いたり、からだを伸ばして思い思いに過ごしている。木漏れ日のなか、威風堂々とした山門や美しい庭を眺めていると、雀のさえずりが聞こえてくる。ランニング中だと言う事を忘れてリラックスできた。

ウルトラシャルソン
立ち寄ったもくもくランドで昼食。この土地の名産を頂くことにした。ここ登米で作られアブラ麩を使った「油麩丼」を注文。麩にしみ込んだ甘辛いだしの味が溶き卵とご飯にほどよく絡んで、箸がどんどん進む。名物の「米粉麺」を使った野菜あんかけも、程よい歯ごたえの麺とさっぱりしたあんが絶妙で、運動後にも食べやすい。米粉でできたのどごしの良い麺と地産の野菜がおなかに届くと、栄養が染み渡ってゆく気がして、元気がわいた。

ウルトラシャルソン
靴擦れやひざがきしむように痛んでいたが、立ち寄った先々で、旅行者や地元の方から「何の大会ですか?」と声をかけていただいた。「頑張ってください!」と応援されると、また走ってしまう。

ウルトラシャルソン
登米を基盤に東北の情報を発信し続けている『フォーチュン宮城』誌の河崎編集長をはじめ、多くの地元の方からお話を伺い、ランナーと「いま求められている事」「県外の人間は、これからの東北で何が出来るのか」などのテーマで自由なディスカッションを行った。後半はバーベキューコンロを囲みながら、楽しい宴席が続き、気がつくと深夜の1時を回っていた……。

ウルトラシャルソン
家族5人で参加した、佐谷さんご一家。佐谷美紀さんは、「シャルソン」ならではの自由度の高さが家族参加の後押しになったと話してくれた。小学生の長男もお父さんと一緒に所々快走。走れなくなっても、並走しているご家族の運転する車で移動できるので安心。大人も子どもも一緒に、思い思いのスタイルでランニングを楽しんでいた。

ウルトラシャルソン
「家族一緒に東北旅行を出来た事が、子どもたちにとっては一番嬉しかったようです」という佐谷美紀さんは「ここで見た被災地の光景や、東北の人たちと交流を深める父の姿は、子どもたちの記憶に残っているんじゃないでしょうか」と話す。「子どもも一緒に家族で参加できるランニングイベントなんてなかなかありません。シャルソンは親子参加も大歓迎!!」と佐谷恭さん。美紀さんも笑顔で「もっと多くの方に、家族で参加してほしいですね」と話す。
岸田浩和

Information
ウルトラシャルソン
本当の福島県の姿が、この一冊でわかる!
旅行者にも県人にもお勧めの書籍『福島のおきて』(構成:オグマナオト)
福島の話題は、震災や原発事故だけじゃない!名物が「喜多方ラーメン」だけなんてもう言わせない!
いままであまり語られる事のなかった「福島県」の魅力や自慢、名物、暮らし、県民性、歴史……などを、至極の"あるあるネタ"51編として紹介してくれるのが、このたび発刊した書籍『福島のおきて』だ。

本書は、単なるローカルネタを扱ったあるある本ではない。いままでなかった切り口の「福島県の解説書」として見る事ができ、様々な属性の人に役立つ実用がつまっている。

旅行者必携の内容も多い。完全な地元目線で語られる「買い物・グルメ編」では、県外の人間がいまいち良くわからなかった「おみやげって何が良いの?」と「福島で名物を食べたいんだけど、なに食べたらいいの?」といった疑問を一気に解決してくれる。ネギを箸代わりにそばをすする「高遠そば」のたしなみ方もくわしく載っている。
友人や恋人、上司や部下に福島人が居るなら、彼らとのコミュニケーションを円滑に進める手助けにもなるだろう。県民の常識!?「こづゆ」と「ざくざく」の違いとは?などの小ネタは、福島県人と話すときに知っていると尊敬されそうな話題だ。「浜通り」、「中通り」、「会津」の3地域に分かれる福島の地理、気候、文化の違いは、福島人との付き合いを考える上で、重要な情報になる。

「震災と原発事故のインパクトが強過ぎて、世界中から注目されたけど本来の福島の姿が全然表に出てこなくなった」と話す福島県出身ライターのオグマナオトさんは、たくさんの福島県人へのインタビューやリサーチを経て本書を構成したという。

オグマさんは「地元を愛する気持ちがにじみ出た“イタかわいい”福島愛に満ちた一冊です」とページをめくってくれた。あるページには「そもそも、自分の生まれ育った県名を口に出せない事があるなんて、そんなつらいことはない。泣きたい事もある」という一文もあった。タレントのデーブ・スペクターさんの言葉を借り「そもそも県名が福(=ラッキー)島(アイランド)と言うだけあって、やっぱり福島県人である事は幸せなんですよ」と笑うオグマさん。

実用情報満載で、読後には、なぜだか心温かく優しい気持ちになれる、51編の『福島のおきて』を、ぜひ手に取って読んでみてほしい。
岸田浩和
書籍
旅行ガイドには載っていない、リアルな福島の情報と県民の本音が詰まった1冊。

書籍
イラスト付きのページも豊富にあり。

Information
「福島のおきて」(泰文堂)構成:オグマナオト
今月のお取り寄せ
小岩井農場6Pチーズ(カマンベールブレンド)648
今月のお取り寄せ
お皿に取り出せば友人などを招いた時のちょっとしたおもてなしにも使える。

今月のお取り寄せ
濃厚な味わいはワインのおつまみにもマッチする。
東北まぐ編集部
イチオシの理由は?

今回は岩手県を代表する大人気農場、小岩井農場のチーズをご紹介します。

こちらの商品は小岩井工場産のカマンベールチーズと醗酵バターを使用しているのが特徴とのこと。
編集部でも早速お取り寄せして食べてみました。

一般的ないわゆる6Pチーズとの違いは歴然ですね。
まず、香りが違います。風味豊かな醗酵バターがかなり利いています。塩加減も実に絶妙。
なめらかな舌触りでありながらチーズ特有のコクはしっかりとあるのも魅力的です。
今回はそのまま食べましたが、パンやハムなどと一緒に食べても美味しそうです。
11月20日はボージョレ・ヌーボーの解禁日。
ワインと一緒に食べたらより一層美味しいのではないでしょうか。
ぜひお取り寄せしてみてください。

Information
小岩井農場オンラインショップ
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【東北まぐ】 2014/11/11号(毎月11日発行)
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