今年のヒット商品ともいえる「格安スマホ」。MVNOによって、盛り上がりを見せているが、市場規模としてはまだ百数十万程度と言われている状態だ。2年縛りが明けるユーザーが増えるなか、そういったユーザーをどれだけ取り込めるかが勝負になるだろう。 そんななか、意外と健闘しそうなのが、「LCCではない」(エリック・ガン社長)ワイモバイルだ。 寺尾COOも「格安SIMと比較されて、結果、我々のところに入ってもらっているというデータも出ている。MNPでも料金面の優位性が出ているようだ」と語るように、料金プラン面での差別化が効いているようだ。 1GBのデータ通信容量が含まれて月額2980円というのは、楽天モバイルなどと比較すれば見劣りしてしまうが、この2980円には、さらに1回10分まで、月300回までのケータイ・固定宛ての通話料金も定額で含まれている。 「それなりに電話をかける」というユーザーであれば、IP電話アプリを使って何とか節約するMVNOよりも、ワイモバイルのほうが利便性が高くお得といえる人も多いはずだ。 最も価格にシビアでスマホ初心者のユーザーにとって魅力的なのがサポート体制だろう。全国に3000店舗近いワイモバイルを扱う店があることにより、ユーザーにとっては気軽にサポートを受けやすいというメリットは計り知れない。 MVNOではどうしてもネットや電話でのサポートに依存してしまうが、ワイモバイルであれば対面で答えてくれる「安心感」は他に代えがたいものがある。 寺尾COOも「値段というのは価値との相対になる。そういう意味ではまだまだ競争力はある」と語るように、「激安だけど、いざという時心配」というよりも「MVNOよりは高いけど、いざという時安心」というほうが、日本人の性格には向いているのかも知れない。 ひょっとすると、ワイモバイルが本気でMVNO向けにSIMカードを提供すると面白い存在になれるかも知れない。 販売は、それこそイオンのようなスーパーもあり得るし、ネット専業でもいい。MVNOがワイモバイルのSIMカードや端末を販売しつつ、いざという時は「ワイモバイルショップにお越し下さい」という流れにしておけば、サポート面でも心強い。 すでに一部のイオンではイオンスマホとワイモバイルのSIMカードをセットにして販売しているようだが、「販売はイオン、サポートはワイモバイルショップ」という組み合わせは意外と強いような気がする。 かつてのイー・モバイルもウィルコムもMVNO向けにWi-Fiルーターや通信カードなどを提供してきただけに、MVNOとの相性もいいはずだ。 KDDIも、KDDIバリューイネイブラーとして、MVNO向けの事業を強化しようとしているが、契約管理やサポート面に関してはKDDIバリューイネイブラーが担当するとしている。MVNO単体では難しいサポート面の対応をキャリアの子会社が一括で面倒見るというわけだ。 NTTドコモ回線のMVNOを使うユーザーも、いざという時はドコモショップに駆け込むため、ドコモショップから悲鳴が上がっているという話も聞く。 ならば、MVNOも単なる安売り競争に走らず、サポート面の費用も上乗せし、キャリアにサポートを委託するといったスキームを作った方が、業界的にも、またユーザーにも喜ばしいのではないだろうか。 |
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