2012年6月8日金曜日

「やぶ医師のひとりごと」 アトピー性皮膚炎の診断、重症度

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<本日のテーマ>  アトピー性皮膚炎の診断、重症度
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皆さん、こんにちは。

今回から購読して頂いた方、はじめまして。

循環器内科医のDr. Iです。



今日も、元気を出して行きますよ〜♪

「アトピー性皮膚炎」について。

まずは、先週までの復習。



 ●アトピー性皮膚炎とは

  ○アトピー性皮膚炎は、良くなったり悪くなったりを

   繰り返す、かゆみのある湿疹を特徴とする皮膚疾患。

  ○多くの患者は、皮膚が乾燥しやすい体質とアレルギーを

   起こしやすい体質(アトピー素因)を持っている。

  ○アトピー性皮膚炎は、小さい子に起こりやすい病気。

  ○アトピー性皮膚炎の治療は、塗り薬、飲み薬、
 
   そして、スキンケアなどがある。



 ●アトピー性皮膚炎の症状

  ○アトピー性皮膚炎の症状は、「かゆみ」と「湿疹」。

  ○湿疹が出やすい場所は、顔や首、肘や膝のくぼみ。

  ○小さい子供の時は発疹は頭、顔(おでこ、目のまわり、

   口のまわり、耳の下)、首、にはじまり、

   肘・膝・手首などの関節周囲、背中やお腹に拡大。

  ○思春期、成人期になると、上半身(顔、頸、胸、背中)

   に皮疹が強い傾向がある。



 ●アトピー性皮膚炎の特徴

  ○急性期の皮疹は、赤みがあって、

   水分が浸み出して、ジクジクした感じ。

  ○慢性期の皮疹は、皮膚が厚くなって、

   ゴワゴワした状態になる。

  ○発赤した皮膚をなぞると、しばらくして

   なぞったあとが白くなる(白色皮膚描記)。

  ○乾燥して表面が白い粉を吹いたようになり、

   強い痒みを伴う。

  ○慢性化すると、鳥肌だったように

   ザラザラしたものができ、皮膚が次第に厚くなる。



 ●アトピー性皮膚炎の原因

  ○体質に関連する原因

   ▲アトピー素因

   ▲皮膚が乾燥しやすい素因


  ○環境に関連する原因

   ▲アレルギーに関係するもの

    食物(卵、牛乳、小麦、など)、ダニ、

    ハウスダスト、花粉、ペットの毛、等。

   ▲アレルギー以外のもの

    皮膚を掻いたりこすったりする事、

    汗、乾燥、石鹸や化粧品、日光(紫外線)等



アトピー性皮膚炎っていうのは、その名の通り

皮膚の病気なんですけど。

具体的には、良くなったり悪くなったりを繰り返す、

かゆみのある湿疹を特徴とする皮膚疾患です。



アトピー性皮膚炎の症状は痒みと湿疹で、

湿疹が出やすい場所は、顔や首、肘や膝のくぼみで、

年齢によっても少しずつ変わっていきます。



アトピー性皮膚炎の急性期の皮疹は、

赤みがあって、水分が浸み出すようね、ジクジクした感じ。

慢性期の皮疹は、皮膚が厚くなって、ゴワゴワした状態になる、

というのが特徴です。



で、アトピー性皮膚炎にはアトピー素因(アレルギー体質)や

皮膚が乾燥する素因など、遺伝が関係しています。

そして、遺伝だけでなくって、食物や汗、乾燥など、

環境も原因として関係あるよ、って話でしたね。



  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆



そいじゃあ、本日もアトピー性皮膚炎について。

今日は、「アトピー性皮膚炎の診断、重症度」についてです。



 ●アトピー性皮膚炎の診断

  ○問診、視診、触診

アトピー性皮膚炎に限らず、病気の診断をする時に

必ず行う事で、最も大事なのは、「問診」です。



アトピー性皮膚炎の場合、いつから痒いのか、

痒いところはどこか、とか。

何かアレルギーを持っているのかとか、

家族に誰かアトピー性皮膚炎の人がいるのかとか、

アレルギー持ちの家族はいるか、とか。

そういう話を聞いていきます。



そして次に、「視診」をします。

これも名前の通り、目で診る診察です。

皮膚科の病気の場合、皮膚を見たら一目瞭然、

という病気も結構ありますからね。

これも、とても大事です。



そいで、医師が患者に直接触って調べる、

「触診」を行う場合もあります。



  ○VAS (visual analog scale)

問診の一種なんですけど、VASというのは、

主観的な掻痒の程度の指標の事です。



患者さんに100点満点で痒みの程度を聞いて、

100%が最も痒みが強い時、0%がまったく痒みがない時

として、何%かをみるものです。



主観に頼るので、一般的な指標にはなりにくいんですけど、

痒みの改善度をみるのには非常に有用です。

また、掻痒だけでなく、掻痒によって生じる

睡眠障害の程度もこの指標が利用されますよ。



  ○血液検査

血液検査をすると、アレルギーがあるかっていうのが、

ある程度わかります。



アトピー性皮膚炎は、アレルギーが原因ですから。

血液検査をすれば、アトピー性皮膚炎の原因である

アレルギーがあるのか、っていう事がわかるんですよ。



だから、血液検査だけでは診断する事は出来ませんけど、

アトピー性皮膚炎を診断する時の助けにはなります。



具体的には、アレルギーがあると血液検査で好酸球とか、

IgEという検査項目が上昇するので、アトピー性皮膚炎でも、

好酸球やIgEが上昇していないか、検査をします。



それと、最近では血液検査でTARC

(Thymus and Activation-Regulated Chemokine)

という項目を測る事ができるようになりました。



TARCはアトピー性皮膚炎の重症度と比例して上昇する、

という検査項目ですので、アトピー性皮膚炎の診断や

重症度を判定する時に使える検査です。



  ○アレルゲンの検査

アレルギー症状を引き起こす原因となるものを

「アレルゲン」と言います。

具体的にはアトピー性皮膚炎の場合、多いのは

先週やった通り、食物(卵、牛乳、小麦、など)や

ダニ、ハウスダスト、花粉、ペットの毛、などです。



例えば、「卵」でアトピー性皮膚炎が悪化しやすいな、

と思ったら、原因物質と推測される候補物質、

「卵」に対して、検査をしていく事になります。



やり方としては、IgEラスト法という血液検査。

あとは、皮膚に候補物質をつけて反応をみる検査として、

皮膚にはるパッチテストや

針で少しだけ皮膚をひっかく皮膚検査(スクラッチテスト)。



それと、候補物質を皮膚に注射して反応をみる、

皮内検査というものがあります。



 ●アトピー性皮膚炎の重症度

アトピー性皮膚炎の重症度は、おおざっぱに

どの程度の範囲まで炎症が広まっているのかで決めます。



 ●アトピー性皮膚炎の重症度

  ○軽 症:面積に関わらず、軽度の皮疹のみみられる。

  ○中等症:強い炎症を伴う皮疹が

   体表面積の10%未満にみられる。

  ○重 症:強い炎症を伴う皮疹が

   体表面積の10%以上、30%未満にみられる。

  ○最重症:強い炎症を伴う皮疹が

   体表面積の30%以上にみられる。
 


まあ、こんな感じですね。

炎症の部分が大きければ大きいほど重症、という事です。

当たり前といえば当たり前ですよね。



そんな訳で、本日は「アトピー性皮膚炎の診断、重症度」

についてでした。

そいじゃあ、今日はここまで。

いつものように、下にまとめを書いておきまーす。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


【今日のまとめ】


 ●アトピー性皮膚炎の診断

  ○問診、視診、触診

  ○VAS (visual analog scale)

   主観的な掻痒の程度の指標の事。

  ○血液検査

   好酸球、IgE、TARC 、など。

  ○アレルゲンの検査

   IgEラスト法(血液検査)、皮内検査、

   パッチテスト、スクラッチテスト、



 ●アトピー性皮膚炎の重症度

  ○軽 症:面積に関わらず、軽度の皮疹のみみられる。

  ○中等症:強い炎症を伴う皮疹が

   体表面積の10%未満にみられる。

  ○重 症:強い炎症を伴う皮疹が

   体表面積の10%以上、30%未満にみられる。

  ○最重症:強い炎症を伴う皮疹が

   体表面積の30%以上にみられる。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


【編集後記】

はっきり言って、アトピー性皮膚炎の検査って、

あくまで診断の助けになります、ってだけのものが多くて、

結局は、皮膚を見て、話を聞いて、っていう事が

圧倒的に重要になります。



それ以外にも、いくつか検査があるんだなー、

という感じで良いと思いますよ。



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