2012年4月13日金曜日

「やぶ医師のひとりごと」  更年期障害の診断、治療

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 ◆  やぶ医師のひとりごと    第 326 号  ◆
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   2012年4月13日発行 購読者数 9246名
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 HP:「病気の症状と予防」
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  <本日のテーマ>  更年期障害の診断、治療
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皆さん、こんにちは。

今回から購読して頂いた方、はじめまして。

循環器内科医のDr. Iです。

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4月になると、新しい人が増えますよね。

若い人とか新しい人が増えると、

職場に活気が出るので良い面もあるんですけど。

仕事はあまりできないから、どうしても前からいる人に

負担がかかって、忙しくなっちゃいます。

私も、4月に入ってから忙しくて、疲れが貯まっています。

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今日も、元気を出して行きますよ〜♪

先週から始めた、「更年期障害」について。

まずは、先週までの復習。

 ●更年期障害とは

  ○更年期障害というのは、閉経前後の45歳から55歳

   くらいの女性で、女性ホルモンが低下する事により、

   ほてりやのぼせ、いらいら感などの症状が出る病気。

  ○30代の女性や男性が更年期障害になる場合もある。

 ●更年期障害の原因

  ○女性は40歳くらいから卵巣の機能は衰えてくる。

   すると、エストロゲンやプロゲステロン等の

   女性ホルモンの量が減少する。

  ○卵巣から十分にホルモンが分泌されないにもかかわらず、

   脳下垂体からは性腺刺激ホルモンが分泌されるので、

   女性ホルモンのバランスが乱れてしまう。

  ○その結果、自律神経の働きや情動まで影響を受け、

   更年期障害の様々な症状が出る様になる。

 ●更年期障害の症状

  ○早期症状

   ▲のぼせ、ほてり

   ▲冷え症

   ▲動悸、めまい

   ▲イライラ感、うつ状態、不眠、など


  ○遅発症状

   ▲性交痛、

   ▲老人性腟炎、尿道炎

   ▲腰痛、肩こり

   ▲骨粗鬆症(こつそしょうしょう)、動脈硬化、など

更年期障害というのは、45歳から55歳位の

女性に起きる事が多い病気です。

この位の年齢になると女性は閉経し、卵巣の機能も衰え、

女性ホルモンの分泌も低下します。

それなのに、性腺刺激ホルモンはしばらく分泌されるんで、

女性ホルモンのバランスが乱れてしまうんですよ。

その結果、顔のほてり、のぼせ等の症状や

動悸、イライラ感、頭痛などの症状が出てくる。

これが、更年期障害です。

もう少し時間が経つと、性交痛や老人性腟炎、尿道炎、

腰痛、肩こり等の症状が出てくる場合もありますよ、

って話でしたね。

☆  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆

そいじゃあ、本日も「更年期障害」について。

今日は、「更年期障害の診断と治療」についてです。
 


 ●更年期障害の診断

  ○問診

更年期障害に限らず、どんな病気でも

最初に行う検査というか診察は、「問診」です。

これは、何回も書いていますけど、

その名の通り、患者さんに問いかけて聞くものです。

更年期障害の場合は、特に症状が大事ですので、

いつからどんな時に、どんな症状があるのか、

という事を詳しく聞いていきます。

更に最終月経日や月経の周期、閉経の時期とか、

そういった事も関係してきますので、その話も聞きます。

どういう症状がどの程度あったら、更年期障害の

可能性が高いのか、っていうのを点数化して

評価する方法というのもあるんで。

興味のある人は、試しにやってみてね!

参照:「簡略更年期指数(SMI)」
http://www.mmjp.or.jp/yasuragiyakkyoku/kounenkisyougai-kubota-5.htm

 ○血液検査

更年期障害の原因は、閉経前後に女性ホルモン、

特にエストロゲンが低下する事がメインです。

だから、更年期障害の診断で最も重要なのが、

血液検査をしてホルモンの濃度を調べる事になります。

女性は閉経に近づくにつれ、エストロゲンの量が減り、

卵胞(らんぽう)刺激ホルモン(FSH)や

黄体化(おうたいか)ホルモン(LH)が増える、

というホルモンのパターンをとります。

なので、血液検査をして、ホルモン濃度のパターンが

閉経に近い状態(エストロゲン低下、LHとFSHは上昇)

で、かつ更年期障害特有の症状もある場合に、

「更年期障害」と診断する事になります。

 ●更年期障害の治療

更年期障害の治療は、大きく分けて2種類あります。

  ○心理療法

これ、カタカナで書いた方がわかりやすいかな。

別の言い方をすると「カウンセリング」です。

更年期障害では、イライラしたり、不安になったり、

「うつ」状態になったりする事があるので。

カウンセラーに、普段言えない事を言って

話を聞いてもらったりします。

  ○薬物療法

薬物療法も、大きく分けると2つに分かれます。

   ▲根本的な治療(ホルモン補充療法)

女性ホルモンの不足でいろんな症状が起きるのが

更年期障害なのですから。

根本的な治療は、女性ホルモンを補充する事です。

この治療は、その名の通り、

「ホルモン補充療法(HRT)」と言います。

女性ホルモンの中でも特に「エストロゲン」というホルモンが

不足する事により更年期障害になるのですから。

ホルモン補充療法(HRT)では、エストロゲンを補充します。

ホルモン補充の方法は、飲み薬として飲む方法と

貼り薬(パッチ剤)を貼る、という方法の2種類あります。

でも、エストロゲンだけを補充すると、出血したり、

乳房が張ったりと、不快感が強いんですよ。

そうならないように、黄体ホルモン(プロゲステロン(P))という

もう一種の卵巣ホルモンを補充する必要があります。

ちなみに、黄体ホルモンっていうのは排卵した後に

卵巣から分泌されるホルモンの事ですよ。

   ▲対症療法

症状に対処する治療の事を、対症療法と呼びます。

不安感が強かったら、抗不安薬とか、

痛みが強かったら痛みどめ、とかそういう感じです。

    □漢方薬

更年期障害はホルモンが減ってなるんだから、

そのホルモンを補充して治療しよう、

というのがホルモン補充療法(HRT)です。

一方、ホルモンが減少するのは、老化の自然な現象だから、

ホルモンはいじらないで、困った症状の原因だけを取り除いて、

体がホルモンの少ない状態になれるまで待ちましょう。

というのが漢方療法です。

漢方薬っていうのは、上手に使うと症状を取るのは

西洋医学の薬よりも効果が高い、という事もありますから。

症状の強い人やホルモン補充療法が出来ない人なんかには、

漢方薬による治療もよく行われます。

    □自律神経調整薬

女性ホルモン(エストロゲン)が減って、ホルモンの

バランスが崩れて自律神経が失調し症状が出る。

というのが、更年期障害です。

なので、自律神経を調整するような薬が治療で使われます。

これらを使うと、ほてりや発汗などに効果がありますが、

効き目が弱いので基本的には、他の薬と合わせて使います。

その他、「うつ状態」には抗うつ薬とか、不眠には睡眠薬とか、

症状によってそれに対応する薬も用いられます。

そんな訳で、本日は「更年期障害の診断、治療」

についてでした。

そいじゃあ、今日はここまで。

いつものように、下にまとめを書いておきまーす。

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【今日のまとめ】

 ●更年期障害の診断

  ○問診

  ○血液検査

   □女性ホルモンの濃度を調べる。

 ●更年期障害の治療

  ○心理療法


  ○薬物療法

   ▲根本的な治療

    □ホルモン補充療法(HRT)
  
   ▲対症療法

    □漢方薬

    □自律神経調整薬、など

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【編集後記】

更年期障害の診断で大事なのは、ホルモン濃度を測るって事。

そして、治療で大事なのは、ホルモン補充療法。

まあ、この位がわかれば、だいたいは良いんじゃないですかね。

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