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◆ やぶ医師のひとりごと 第 350号 ◆
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2012年10月12日発行 購読者数 8833名
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ＨＰ：「病気の症状と予防」
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＜本日のテーマ＞ 緑内障の原因
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皆さん、こんにちは。
今回から購読して頂いた方、はじめまして。
循環器内科医のDr. Iです。
○ガン漢方が注目されていまーす！
http://www.tensen.com/
ガンと言えば、昔は不治の病でしたけど。
手術や化学療法、放射線療法、等の治療で、
今では、治る患者もたくさんいるんですよ。
でも、西洋医学は「戦う医療」とも言われるように、
治療される側にも負担が大きい治療です。
しかも、いくら戦っても残念ながら西洋医学だけでは
不十分だ、という事もあり得ます。
そういう時には、他にもいくつか治療法があるんですが、
その中でも注目されているのが、漢方による治療です。
漢方の本場、中国政府から認可された漢方薬もあって、
「天仙液」という有名な薬なんですよ。
興味のある人は、見てくださいね。
○「天仙液」
http://www.tensen.com/
テレビや本でも紹介されてるものですよ。
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今日も、元気を出して行きますよ〜♪
緑内障について。
まずは、先週までの復習。
●緑内障とは
○視神経が障害されて、視野の一部が見えなくなる病気。
○年齢と共に徐々に進行して行き、
基本的には視野が戻る事はない。
○日本の失明原因として、最も多い病気。
○４０歳以上だと、２０人に１人くらい、患者がいる。
○治療は基本的には目薬。
●緑内障の症状
○初期の段階では、気づきにくい。
○片目で見ると目が見えにくい、
見える範囲（視野）が狭くなる。
視野の周辺がかすんだり、欠けたりする。
○緑内障が進むに従って、視野狭窄が進んでいく。
○最悪の場合は、失明する事もある。
○緑内障発作の症状は、急に頭痛や吐き気、
目の痛みや視力低下が現れる。
緑内障というのは視神経がやられちゃって、
視野の一部が見えなくなる病気です。
年齢と共に徐々に悪くなっていくもので、
基本的には治る事はないんですよ。
高齢化が進むにつれて患者はどんどん増えていて、
今では日本の失明原因で糖尿病を抜いて一番多い病気です。
そいで、緑内障の症状なんですけど。
一番問題なのは、初期の頃はほとんど症状がない、
という事なんですよ。
だから気づいた時には手遅れで失明する事があるんです。
んで、病気が進むと、目が見えにくい、
見える範囲（視野）が狭くなる、
視野の周辺がかすんだり、欠けたりする、
という症状が出て、最悪の場合は失明する事もあります。
そして、急に目が痛くなったり、視力が低下したり、
激しい頭痛や吐き気を起こす「緑内障発作」という
症状もあるんだよ、って話でしたね。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
それじゃあ、本日も先週に引き続き、緑内障について。
今日は「緑内障の原因」についてです。
●緑内障の原因
緑内障ってどういう病気かという事は書いたけど、
正式に言うと、緑内障にも定義があります。
日本緑内障学会のガイドライン（第二版）によると、
「視神経と視野に特徴的変化を有し、通常、
眼圧を十分に下降させることにより視神経障害を改善
もしくは抑制しうる眼の機能的構造的異常を
特徴とする疾患である」
と定義されています。
何を言ってるのか、全然わかりませんよね。
どうして、専門用語ってこんなに難しいんでしょうか。
ざっくり説明すると、目が見えるために必要な神経（視神経）が
やられちゃって、視野が狭くなるとか見えなくなる病気です。
そいで、眼圧を下げると視神経がやられるのを
抑制する事ができる病気だよ、という事です。
じゃあ、「眼圧」っていうのは何なのか、っていうと、
それを説明するためにはその前に、
眼の構造について知る必要があります。
これは、文字で書いてもわかりにくいですから、
絵を参考にしてみましょうかね。
これっす。
参照：Santen「緑内障」
http://www.santen.co.jp/health/ryokunai.shtml
上の方にある「房水と眼圧」という絵です。
この絵にもある通り、目というのはレンズの働きをする
水晶体（すいしょうたい）とか、角膜（かくまく）と呼ばれる
フィルターの役割をするものとかで出来ています。
レンズは透明じゃないと光を通さないので、
レンズの中には血管とかがないように出来ています。
でも、生き物ですから、栄養とかは必要ですよね、当然。
目の内部に栄養を与えたいんだけど、目の中に血管があると
邪魔になって目が見えにくくなっちゃうので、
その変わりになる物があるんですよ。
それが、「房水（ぼうすい）」というものです。
絵でいうと、角膜と水晶体の間に「前房」と書いてある
空間がありますけど、ここに満たされている水です。
房水には栄養が入っていて、目の前側にあるので、
そこから目の内部に栄養を与えているんですよ。
当然、水が貯まりっぱなしになっていたら、
栄養がすぐになくなってしまいますから。
栄養の入っている新しい水（房水）が入ってきて、
そこから出ていくような仕組みになっています。
その出口にあたるのが、隅角（ぐうかく）です。
目の絵のやや上の方に「隅角」というのがあるんですが、
ここにあるシュレム管という所から
房水という栄養の入った水は、外に出ていきます。
房水の量は基本的には決まっているので、
圧力も一定になるように貯まっています。
でも、房水の出口である隅角が詰まったら、どうなりますか？
出口が詰まるから、中の圧力は上がりますよね。
これが、先ほど出てきた「眼圧が上がる」という状態です。
絵でいうと、もう少し下にある
「原発閉塞隅角緑内障」という所です。
急に隅角が詰まると、緑内障の発作になって、
頭痛や吐き気、急に目が見えにくくなるとかの
症状が出る事になります。
徐々にゆっくり閉塞すると、慢性の緑内障になります。
ちなみに、急に隅角が閉塞して眼圧が上がるタイプの
緑内障の事を「急性閉塞隅角緑内障」。
徐々に隅角が閉塞して眼圧が上がる緑内障は、
「慢性閉塞隅角緑内障」と言います。
閉塞はしていないんだけど、房水の出口（隅角）が徐々に
目詰まりして眼圧が上がるタイプの緑内障は
「原発解放隅角緑内障」と呼ばれます。
緑内障の原因は、隅角が閉塞したり目詰まりして
眼圧が上がって、視神経がやられてしまうから。
と、言いきれれば良いんですけど。
昔はそう思われていましたが、良く調べてみると
眼圧が高くない緑内障、というのもかなりの数がいる、
という事がわかってきました。
こういうのを、「正常眼圧緑内障」と言います。
なぜ眼圧が正常なのに緑内障になるのか、
っていう事に関しては、実はきちんとした原因
というのはわかっていません。
という事で、ちょっとややこしくなってしまったので
ざっとまとめると。
目の隅角（ぐうかく）という房水（ぼうすい）の
出口のところが目詰まりしたり閉塞して眼圧が上がると、
視神経がやられて緑内障になりますから。
これが、原因の一つです。
そいで、原因は良くわかんないけど、眼圧が正常だけど
視神経がやられちゃって緑内障になるタイプもあるよ。
っていう話ですわ。
そんな訳で、本日は「緑内障の症状」についてでした。
そいじゃあ、今日はここまで。
いつものように、下にまとめを書いておきまーす。
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【今日のまとめ】
●緑内障の原因
○目に栄養を与える水（房水）の出口にあたる部分（隅角）
が閉塞したり、目詰まりすると眼圧が上がる。
○眼圧が上がると、視神経がやられてしまう。
○視神経がやられると視野が狭くなったり、
視野がかすんで、緑内障という病気になる。
○ただし、眼圧は正常なんだけど視神経がやられる、
正常眼圧緑内障というのもあって、原因は不明。
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【編集後記】
細かい話は良いんで、眼圧が上がって視神経がやられると
緑内障になるけど、それ以外の緑内障もあるんだ。
という感じの理解で良いと思います。
視神経の細胞って基本的には再生しないから、
一度悪くなったら良くなる事はない、と言われていました。
でも、ノーベル賞をもらった山中教授のiPS細胞を使えば、
将来は失明した目が見えるようになる、
という事もあるかもしれませんよ。
将来に期待しましょう。
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