中島 聡 マイクロソフトでWindows95、Windows98、Internet Explorer 3.0/4.0のチーフアーキテクトなどを務めた。現在シアトル在住。「エンジニアのための経営学講座」を中心としたゼミ形式のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では世界に通用するエンジニアになるためのノウハウを分かりやすく解説。 | いろいろな要因があると思いますが、一番の違いは「たった一人の情熱的な人が大きなことを成し遂げるための環境が整った米国」と「大きなものになればなるほど合議制でしか前に進めない日本」の違いがあると思います。 「原発」や「液晶」のように「この分野に投資することが誰の目から見ても正しい」という場合には官民をまたいだ合意形成を作ってそれなりの大規模な先行投資をしていくことが日本でも可能です。 しかし、Elon Musk や Steve Jobs のように「私に任せてくれればなんとかします。細かなことを信じて下さい」というスタイルの人の元にはお金も人も集まりにくいのが日本です。 さらに付け加えれば、米国では資金を持たない創業者に大きなキャピタルゲインをもたらす仕組み(創業者に有利な会社法)があるため、それを利用して財をなし、それを元手にさらに大きなビジネスを作るということが頻繁に行われています。 日本の場合は、システム的にも社会常識的にも個人がビジネスを通して大きな私財をなすことを良しとしない傾向があるので、それも Elon Musk のような人物を産み出しにくい環境を作っています。 私はこれまで日本の大学発ベンチャーをいくつか見てきましたが、いずれのケースでも発案者の人たちは今の職を維持したまま誰かに事業化してもらおうというスタンスでしかなく、「全てを投げ出してでもこれを事業化する」という強い意志を持った中心人物が不在でした。 エリーカのケースも同じだったかどうか具体的なことは知りませんでしたが、今の時代、その気になれば海外での資金集めも決して不可能ではないので、結局は熱意の問題だと私は思います。 |
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